「ジャパニメーション」はなぜ敗れるか

わかっての通り「ジャパニメーション」というのは「ジャパン」と「アニメーション」を合わさった日本アニメの造語である。漫画原作者であり、サブカルチャー評論家の大塚英志氏は日本アニメは破れていると主張している。

本書に詳しく書かれているが、まずは「東京国際アニメフェア」などのアニメの国策化をはじめ、宮崎アニメでの海外でのヒットに関する批判やアニメ産業の構造改革や、ハリウッド化など様々な事柄について批判を行っている。

「左翼」的観点からというのはちょっと語弊があるかもしれない、アニメ批判に関しては楽観・悲観的批判説いたほうが良いのではないかと私は思ったのだが。ただアニメ批判であると同時に国策化の批判が少し色濃かったので「左翼」的観点と言ってもいいかもしれない。

さて、日本はアニメの国策化に向けて積極的に動き出している。現に前述のアニメフェアなど多くのイベントが執り行われていることも事実である。しかしそれを税金で使っているのかといわれるとそれはわからない。

使っているとはいえど、それにより世界中に認知され多くの利潤があると考えればプーチン政権化で行われた資源(原油・天然ガス等)の活用による成長政策と通程するものがあるのではなかろうか。日本のアニメは技術、面白さともに世界のトップクラスを走っているのだからそれを有効活用して何が発展だ、という人もいる。私もそれには同感する。

さて、現在日本アニメ界では2つの大きな悩みを抱えているのはご存じだろうか。一つは下請け構造によるアニメーター格差の激化、そしてもう一つがアニメのハリウッド化である。まず一つ目はアニメーター格差であるがこれは日本が抱えているワーキングプアなどの所得格差はアニメーターでは深刻な問題となっている。

アニメを制作するにしてもそれを制作するに当たり2次請け、3次請けを行わなければ成り立たないというところが現実としてあげられる。私なりの考えだが、それの原因として起因しているのはアニメーション技術の向上化によるものではないだろうか。技術を向上することによってそれだけの人員と工数がかかるのは明白である。しかし、それを開発を値切ることにより、下請け・孫請け以下の企業は苦しい経営を余儀なくされるのと同時に1日中数時間以上の労働時間でもそれほどの給料しかもらえない。

システム開発企業と似ている(そっくり?)構造である。それともう一つは深夜アニメに関すること。深夜アニメの収入源は広告収入だけではなくDVD(OVAと呼ばれる)が主な収入源となっている。本来であればあまり批判したくはないがあえて言いたいのが、最近の深夜アニメはインパクト重視の傾向にあると思う。特にパンチラや「萌え」を重視したアニメが多いように思える。

それも一つだという意見もあるようだがよく考えてほしい。現在ではCGのよさやこういったことが受けるようになっているのでその傾向も仕方のないことだが、それと反比例して内容自体がチープなものとなってしまっていることに問題がある。しかし深夜アニメは視聴者自体が少ないせいもある(というより特定視聴者向け)のも一因であるのではないか。だが内容のいい作品もあるのでその作品に対しては夕方(もしくは夜)に再放送したらどうだろうか。

2つ目についてはこれが最近多くなってきている。有名なところで言うとトランスフォーマーがハリウッド映画化された。これからハリウッドが日本のアニメに目をつけ映画化し、貴重なアニメという資源をむしばんでいく。当然その映画の制作会社が大多数のもうけを持って行き日本に流れてくるもうけはわずかなもの。どうせやるのであれば、日本で作ったアニメなのだから日本で製作すればもうけも増えるのではないだろうか(私の勝手な推測ですが…)。

著者が言う日本のサブカルチャーとしての敗北については認めざるを得ない。サブカルチャーというのは文化から逸脱した文化事象のことを言い、つまりは日本の文化の傍流にそのアニメなどのカルチャーがあることをいう。しかし世界的にも日本のアニメが認知されている今、サブカルチャーとしての定義を逸脱してしまった。

だからと言ってメインカルチャーなのかというとそうではない。だから今のアニメは「ポップ・カルチャー」なのではないかと思う。サブカルチャーでありながらそれとは逸脱した人気を誇っているのだから。だからでこそ日本のアニメ界は世界に対して売り込みをかけるべきだ。しかし今のままではそのうちアニメ業界の構造が崩れかねないということも肝に銘じておくべきであろう。

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