大学はなぜ必要か

大学全入時代に入っている時代、大学とは一体何のために学ぶのか、何を学ばせる場なのかというのが問われていると言ってもいい。大学のというのは日本の最高学習機関でありその中には修士・博士を育成する大学院も存在する。

少子化に見舞われている中、大学の数は右肩上がりとなっている現状。それぞれ個性をもった大学が増えており、その大学特色の教育をうたっているところもある。日本の大学は多様化しつつある。しかし大学とは何かを問い詰める分岐点にあることは間違いのない事実である。

本書では第1章に大学、そしてそこで学ぶ「学術」とは一体なのかを歴史を基として説明している。そして第2章ではデータをもとに日本の大学の現状について語っている。ここで思うのが日本人の学習意欲、向上心のなさというのが露呈されていること、そして大学に行くにあたっての私費が他の国に比べて高いことである。

後者は税に連結している点もあるので何とも言えないものの、前者は深刻な問題である。なにも意味なしで学校で学ぶことよりも目標、とりわけ将来の大きな目標に向かって何を学ぶべきなのかを考えている人と比べて意欲が全く違う。これも一つの要因といえるだろう(また本書ではもう一つ深刻なものとして「博士余り」も挙げられている)。

第3章以降は大学のこれからについて論じている。大学は学術を培うだけではなく研究機関でもある。日々様々な研究が出てきており、それが社会のために息づいているものもあれば、学会で発表したっきり終わりというものまである。とりわけ大学では基礎研究が研究の中心となっている。

それを社会のためにどのように還元していくのかというのも一つの役割といってもいいに違いない。特に最近では企業や官公庁と連携して(産学連携)研究を進めている大学も増えている。また大学が研究した成果を企業に売り込む、いわゆるTLO(Technology Licensing Organization:技術移転機関)を介して積極的に民間企業に売り込むということも増えている。

大学から助成金をもらって研究していることも明らかになっているのだからそれが増えていき人々の生活もより明るく、かつ豊かになっていくのであれば大学の風当たりも良くなっていくのではないだろうか。でも、「大学は学問を育む場」であることは前提にしないといけないが。