女王陛下の外交戦略

イギリスの女王エリザベス二世が女王に即位してから今年で50周年を迎える。本書はちょうどその時期に上梓された。

本書は女王陛下の外交戦略から、あまり知られていない「コモンウェルス」、イギリス王室を支える支柱やジョージ七世といった内容である。

女王陛下の外交戦略には非常に舌を巻いた。あれだけ首脳が変わっているのにもかかわらず変わりない外交で関係を維持し続けられる女王陛下の対アメリカ外交、さらには多くの国々の首脳をも動かしてしまう優しさ、そして高潔さのあふれる外交、おそらく日本ではとてもではないができないような外交を女王陛下はやっていらしている凄さがここにあった。

コモンウェルスは私自身初めて聞くものだが、日本語で言えば「イギリス連邦(決してイギリスの国名ではありません)」、簡単に言えばイギリスと、元イギリスの植民地であった独立国からなる連合である。女王陛下のコモンウェルスに属している国々との外交も非常に印象的であった。とくに90年代のアパルトヘイト廃止前後は注目である。

第3・4章では知られざるイギリス王室事情が語られている。ここではあまり感想は言わないが、イギリス特有の行為の問題も見え隠れしているために興味深い内容であった。

そして最後は日本の皇室外交について書かれているが、ご提言となられるものがほとんどなかった、今の現状について書かれているくらいでしかなかったのが残念だった。ここまでイギリス王室のことについて書かれたのだから、責めて比較だけはしてほしかったという心残りはあった。

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