過剰と破壊の経済学

本書は「ムーアの法則」がいかに経済に破壊をもたらすのかを説いた1冊である。ムーアの法則とは一体何なのか。定義としては「半導体の集積度は18ヶ月で倍になる」という法則である。さてこれが何十年も続いている世の中。一体この先どのようなことが起こりうるのかというのもムーアの法則にのっとり予知している。

このムーアの法則に最も近いものといえば日本におけるブロードバンドの増加にあるだろう。実際本書でもこれを紹介している。ここ最近インターネットというのは急速に普及してきた。それに以前はワープロやファックスなどの電子機器で文書を書いたり文書を送ったりしていたがこれ自体パソコンでできるようになってきた。

ということを考えると本書での「業界の境界がなくなる」ということの証明に一歩近づく。ただし「通信・放送はIPで融合する」は経済学上では合理的に見えるものの、業界の体質上非常に難しい。これはこのブログでも紹介した「電波利権(新潮新書)」を見ればわかる。

そして「パラダイス鎖国」については非常に興味深かった。実際言語の壁があることにも事実ではあるものの、日本企業は非常に良い技術力を持っているにもかかわらずそれを世界に向けて広げていない業界があるということ。それが顕著であるのは携帯電話メーカーがあげられる。実際に世界的シェアで見てみたら大きく水をあけられていることが一目でわかる。

ムーアの法則は最初は私にはあまりよくわからなかったが、本書を読んで非常に興味を持つことができた。ムーアの法則というのはいかに身近であるか、非常によくわかった。