医療の限界

本書は昨年あたりに1度読んだことがあるが、その時は医療に関する知識は微々たるものであったのであまりよく理解ができなかった。したがって本書を読むのは2回目ということになる。それまでで一応いくつかの文献を読んできたし、TV番組でも新しい知識を蓄えてきたので今回は非常に読みやすかったし、またいくつかの文献に関連付けられるくだりもあったので興味深い内容であった。

本書で糾弾している中で印象的だったのが医療事故(とそれにおける裁判)とクレーマーである。クレーマーに関しては医療に限らず学校や会社でも最近急増し、社会問題となっている。なかでも医療の現場では「モンスター・ペイシェント」が深刻な問題となっており、患者の権利(医師は患者に暴力等で抑止することをやむを得ない理由でない限り禁じられている)によって医者のストレスが増す一方であるということをTVで見たことがある。

そして本書で一番多く書かれていたのは「医療事故」である。これも最近医療ミスによる民事訴訟(時には刑事訴訟)が頻繁に起きている。ここで私も著者も言っているが「医者は神ではない、超人ではない」ということ。すなわち100%医者に行けば病気やけがが治るわけではないし、手術でも「猿も木から落ちる」のごとく、絶対にミスをしないということは限らないということである。それを大前提にして、予防のために何をすればいいか、もし起きてしまったらどうすればよいのかを東京の虎の門病院の取り組みを基にして説明している。

最も医療事故というのは「世論」によって、もっと言えばメディアによってつくられていると言っても過言ではないということもよくわかる。