老いてゆくアジア

最近報道でアジアの経済成長のニュースが飛び交っている。とりわけ中国の経済成長には目覚ましいものがあり、都市部では近代化が進み、資産も潤沢になっている。またASEAN諸国でも経済発展はめざましくこちらも国民単位での所得も右肩上がりとなっている……ところがそれに水を差すような本が出てきた。

それが本書である。本書では一連のアジア諸国の経済成長は一種のボーナス(本書では「人口ボーナス」の一時的効果)によってなされているものであり、それらは人口減少に伴って減速の一途をたどるという衝撃的な内容となっている。

これは本当か?と思ったのだが、実はこれを証明するであろう一つの事例が中国にある。中国では総合的な人口増加は進んでおり、経済成長も目覚ましいと言われている。特に香港などでは経済的にも潤沢ではあるものの、最近アメリカでおこったサブプライムローン問題を機に減速し始めているのである。

中国では人口が増加しているとあるがこれは西部など貧困地域が人口増加を助けており、香港などの都市部では出生率が日本より低いという都市がいくつかある。そこでは経済的に減速し始めているという声も上がっている。それを考えると本書の警告は非常に役立っているというのが証明されているのではないだろうか。アジア経済を楽観視している方にはぜひ本書を読み目を覚ましていただきたいものである。