ニッポン・サバイバル

東大大学院で政治学教授である姜尚中氏が著者の理論と体験談をもとに寄せられた声にこたえていくという1冊である。著者なりの答え方であり、しかも自分なりのスタンスを貫いているところに本書のいいところである。私もほとんどの意見に共感を持つことができる。

ただし憲法九条に関してはちょっと異論を述べたい。著者は憲法九条を変えることによって戦争のできる国にしようという論客が多いとおっしゃられたが、確かにそういう人もいるが、それは半数もいない。もう半数はもっと守備範囲を広げて集団的自衛権を保持しようということである。

それともう一つはイラクをはじめとする海外への人道支援を憲法により保障できるものとすることも改憲論の中の一つと言えるのではないだろうか。特にイラク戦争での自衛隊の後方支援に関しては日本では賛否両論はあったものの国連のアナン前事務総長は高く評価している。私は改憲を行い、集団的自衛権を保持し、戦禍の国々で後方支援を行いながら復興を行うということこそ日本の国防の役割であると私は思う。