「日本の問題点」をずばり読み解く

本書は日本の政治の問題点について事細かに、かつ分かりやすく解説されている。

第1章では小泉政権下での日本の政治の問題点について語られている。ここでは小泉元総理が考えていることを著者が取材を行ったことによる独自の観点が生かされたところもあり非常に面白かった。

第2章は外交についてであるが対米外交、そして対北朝鮮外交について、第3章では本書が出版された年の5月に中国で大規模な反日運動があった。そのことによる著者自身の反応と、小泉元総理が公約に挙げていた靖国参拝について、第4章では少子高齢化、第5章は教育、そして最後は報道について著者独自の視点、かつ入門書のように非常に明快に書かれている。

特に面白いと思ったのが第4章のジェンダーに関することの話。ある番組をご存知であったらいいのだがここでは女性問題について舌鋒鋭く語っている田嶋陽子氏をここで批判している。あの番組であれだけ批判しているのにここでもかという思いで見ていた。でもやっぱりここでも三宅先生らしいのが本書のいいところではなかろうか(ちなみに宝島社の「おじいちゃんにもセックスを」というところでも三宅先生は田嶋氏を批判している)。

第5章では平等教育について批判しているが、ここは全くその通りと言いたい。平等教育によって出る杭が打たれてしまう。本当の教育というのは出る杭を伸ばさなければいけないのに、それを平等主義に反するからやろうともせず、むしろそれを止めてしまうという現状。これでは人が育たず大人たちの傀儡となってしまうのも無理もない。

しかし日本の教育はそれでは駄目である。日本人はまだまだ成長できる、競争できる。そういう大人たちに教育を委ねることこそ真の「教育」ではなかろうか。