舞台ウラの選挙

「選挙にはお金がかかる」、世間でも私でもそういった固定観念がある。しかし、2005年の郵政総選挙ではあまりお金をかけずに国会議員になった人もいるという。選挙の準備期間が短かったためであるという。しかし従来の選挙であれば充分な選挙期間(1年以上)になるということからポスター大やアシスタント代等でかなりお金がかかるという。しかし本書によると選挙はお金をかけたものが勝ちとは限らないという。では選挙に勝つ秘訣とは一体何なのか。

PR上手なところである。小泉元首相は郵政総選挙にて本当に短い時間で選挙の要点を絞り出している。ただしマニフェストは必ずしもいいとは言えないものの心をひきつけるフレーズと一言が大正を呼び込んだといっていい。逆に2007年参院選の自民党の大敗は政府の閣僚があまり印象が良くなかったように思える。それによる自滅により、民主党に票が流れたともいえる。

そう考えると安倍氏が続投を決めた理由も窺えるものの、体調により所信表明演説の後に辞めてしまったのは何とも皮肉である。政治的信念については高く評価したいものの閣僚選びに関しては自分でカバーしきれないところをリカバリーできるような人材を確保できていなかったところ、そして参謀役がいなかったことが低くしてしまった点と言えるのではないだろうか。

本書の最後には都道府県知事選から見た新しい選挙の在り方について書かれている。特に東国原知事や残念ながら千葉県知事選で次点になった森田健作氏、最後は石原都知事についてである。石原氏についてはほとんど人気があったので3戦はできたということにとどめておく。東国原知事は保守分裂によっての漁夫の利の勝利と言えばそれまでではあるが、しかし宮崎県民の心をぐっととらえる演説には称賛に値する。もっと凄いのは森田健作である。

「運が良くても当選しそうな人」と書かれているが、国や地方のためへの情熱と言うのは森田しか出せない強さを持っていると私は思う。本書でわずかしか書かれていないが2000年の衆議院総選挙において森田氏は無所属で出馬し当選した。本来は自民党比例区で出馬が検討されていたが森田氏はあえて無所属で小選挙区で出馬をした。

その時の幹事長であった野中広務らによる選挙妨害にもめげずの勝利と言うのはいかに国への情熱が強いのかというのが窺えた。選挙は今の昔も3バン(地盤・看板・カバン)は同じではあるが、財力も必要と言うこともあるが、しかし選挙の根幹、浮動票の獲得の最大要素と言えばPR力であり、情熱も必要であると私は本書を読んで思った。