「海洋国家」日本の戦後史

アジア地域のほとんどは大東亜戦争終了までは欧米列強の植民地であった。そのときは白人たちの横暴に苛まれ続けたが、大東亜戦争による日本の活躍により、日本軍に不満を持ちながらもアジア独立への希望が芽生えたことは紛れもない事実である。それによって戦後多くの国々が独立した。

本書は日本におけるアジア外交の戦後史についてであるがとりわけ多く取り上げられていたのはインドネシアと日本の外交である。戦後インドネシアはスカルノ政権による独裁国家からスタートしたが、その中で日本との国交を回復させ、日本に対して特別な感情を抱いている国家の1つとなった。スカルノ元大統領自身も大東亜戦争によって独立への希望を見出せたとして日本には感謝しているということを別の文献で読んだことがある。

インドネシア以外で私が目についたのは台湾である。当時の台湾は蒋介石独裁政権でありあの忌まわしき二・二八事件の起こった数年後であり、さらには中国との対立により国連脱退の危険性が強かった時代であった。蒋介石は「一つの中国」ということで台湾を独裁しているのにもかかわらず中国を支配するという構想を捨てきれていなかったようである。

それが教育にもあらわれ、現在中国が行っているような洗脳教育を台湾でも行われていた。ちなみに米・中が接近してから国連脱退の危機があったが中華民国を認めない決議が採択された後に台湾は国連を脱退した。これについてはアメリカだけではなく日本もとどまるように説得したが蒋介石は「漢族不一致」として頑として認めなかった。日本と台湾の間には上記のようなエピソードがあった。

21世紀のアジアは経済的にも急成長を遂げた国が多く見られている。特に中国やインドをはじめ中近東の成長は目覚ましい。しかし外交はというとインドやシンガポールなどは比較的良好であるが、中国と韓国は口が裂けても良好とは言えない。外交は毅然であるほうがいい。

日本が受け身に走っているからでこそ隣国はつけ上がるのだから、むしろ歴史資料が豊富にある今だからでこそ歴史的事実を証明するために竹島や尖閣諸島に対しては国際裁判所に訴えるというカードを切ったほうがいいのではないだろうか。もし応じないのであれば歴史の証明ができない何よりの証拠となることだからそこに弱みをつけて毅然とした態度でなければ日本はなめられる。そうした外交が今の日本は得策と言えよう。