参議院なんかいらない

本書が発売したのは昨年の5月下旬。衆議院も参議院も過半数に達しており「ザル議院」と形容されていた時である。しかしいらないという論から2カ月に破産議員通常選挙がおこなわれ、与党大敗により「ねじれ国会」となった。これによって国会が面白くなった反面、法案がほとんど通らない事態となった。

これにより読売グループ会長であるナベツネこと渡辺恒雄氏の提唱による大連立構想により政権奪取秒読みと思われた民主党が突如失速した。このねじれ国会となったことにより著者の一人である筆坂氏は参議院不要論から必要論に転じたという。

ただ未だに不要論を唱えている人の中には本書の第2章にもあるとおり「タレント議員の府」としての役割を持っているというところを指摘している。さらには衆議院と同じくほとんどがどこかの党に所属しているところも挙げている。

そもそも参議院とはどういった府なのか。簡単にいえば「良識の府」とも呼ばれており、無所属議員が多くそれぞれの良識なる価値観から法案が通ったり通らなかったりしていたという。しかし時がたつにつれ政党の議員が増えはじめ今となっては一握りしか無所属の議員しかいなくなった。そう考えると今の参議院の有様により参議院不要論を唱える人の気持ちがよくわかる。

では参議院を再び「良識の府」とするためにはどうすればよいかとなる。本書の第6章ではその提案がいくつか書かれている。まずは定数100人削減。これは一寸首をかしげてしまう。果たして改革となるのだろうかと。次に党議拘束を外すこと。これは最低限できるだろう。いきなり全員無所属になれというのは少し暴論じみているだけに、政党議員でありながら党の思惑に惑わされることなく自分の意見で法案の賛成・反対を投票することこそ「良識の府」のための一つの形態と言えよう。