宗教 VS 国家

日本国憲法20条には政教分離の原則が明記されている。さてこの宗教分離は一体どこが源流であるのか。それはフランスにあるというのが本書である。フランスでは1895年に「スカーフ事件」が起こり、それを契機に1905年に政教分離法が定められ、ほぼ完全に宗教と政治との分離が相成った。

しかしフランス革命はそれより100年前に起こったがその中で政治と宗教の確執が100年間も続いた。それが決定的となった事件が「スカーフ事件」となっている。それ以前はキリスト教により政治が支配されていた。

その政治と宗教というのはかかわりをもっていたのか、なぜ政教分離を推し進めなければならないのかと考えると民俗学的観点から求めるべきなのか、政治学的観点からみればよいのかということも考えなくてはならない。ただ本書はフランスにおける政教分離の歴史について書かれているので前述の命題については別の本で解き明かしたい。

本書は人権ということに関してマザー・テレサから始まっているが、昔キリスト教に政治を支配されていたと考えると政教分離に反しているといってもいい。政治と宗教とは切っても切れないものなのか。あるいは政教分離というのは名ばかりなのかというのも問い詰める必要は本書にあるのではないだろうか。