ビジネススクールで身につける変革力とリーダーシップ

最近巷では「リーダーシップ」や「変革力」というのがよく言われている。しかしこのリーダーシップ、そして変革力とは一体何なのか。どのようにして育むべきなのかというのが見えてこなかった。本書はそういうところは一体何なのかということを教えるのと同時にビジネススクールの良さについて書かれている。

とりわけ注目すべきなのは第4章「変革力の本質」と第5章「変革リーダーのマインドセットとスキルセット」である。

第4章「変革力の本質」は変革には痛みを伴うと著者は主張している。小泉政権下で「痛みなくして改革なし」ということが頭に浮かんだ。しかし痛みと喜びに関することで痛みを伴う変革として挙げられるのが規模の縮小と大規模なリストラであるが、そう考えると非常に短絡的思考に陥るのではないのかとも思えてならない。むしろ社員の人数や企業規模の縮小といったマクロ的観点よりも社員のボーナスや給与削減といったミクロ的な観点もあるのではと著者に問い質したくなる。

第5章はリーダーシップであるが、ここで問うべきものはリーダーとマネージャーについてである。リーダーとは先の変化に順応し、それを見据えたうえで計画を立て組織をまとめていくという立場であり、変革性を重視している。一方マネージャーは組織の調整など未来というよりも現在の所を調整する立場にある。その意味では組織性を大事にしている。これが両方成していくと最強になるわけであるが、これが非常に難しい。

そもそも変革性というのは第4章で述べたが、では先を読むことはどのようにして読むのだろうかという考えが出てくる。これは業界や仕事内容など個々的な観点で千差万別であるが、本書では対人スキル、専門スキル、そしてコンセプチュアルスキルである。最後のコンセプチュアルスキルは組織全体の機能などを見抜くスキルなので組織に対する順応や嗅覚というべきだろうか。

対人スキルはコミュニケーション能力のことを問われているようだがここで言うコミュニケーションは組織の中でいかに教えていくのかという力、外部環境に順応できるように組織への目配りができる力などがあげられるだろう。もう一つにはマインドセットとスキルセットがあるが、自分自身が考えるビジョンとそれに関係するスキルを相乗関係でプラスに持っていかせることを指す。ここではジャック・ウェルチ、パーシー・バーネビック、そしてカルロス・ゴーンの3人について検証している。

本書を読んで考えさせられたのは自分でリーダーシップを育てる難しさである。当然組織の中でリーダーシップを発揮されなければ組織として成り立たない。とはいえそのリーダーシップをどのようにしてつけていけばいいのかというのを考えると非常に多いように思えた。しかし一朝一夕。ひとつひとつのスキルを身につけ、そして徐々にリーダーシップを育ませる。それが一つの手ではないだろうか。