なんとなく、日本人―世界に通用する強さの秘密

表題にひかれてしまった。元長野県知事であり新党日本代表の田中康夫氏の「なんとなく、クリスタル」にいかにもパクリのような感じの表題であったため本書を手に取ってしまった。しかし内容紹介に書いてあるとおり21世紀を生きる日本人の多くは「なんとなく、日本人」果ては「地球市民」と答える人もいる。そんなぬるま湯のようなことになっていたら当然国際間の競争にも負けてしまい、ついには日本人が1人もいなくなるというようなことにもなりかねないのである。日本がこのままでいいのか。国際ビジネスマンの経験し、西洋的思考法を熟知した著者の渾身の作品である。

前述にもあるとおり西洋的思考法、つまり論理的思考法をもって日本人論に立ち向かっていっている。こういった切り口というのは非常に面白いことだが、はたして日本人は論理的ではないのかというとそうではなかった。安土桃山時代の時にポルトガルから宣教師が日本にやってきたときのこと、キリスト教信仰のためにイエスの教えを説いたのだが、日本人は宗教のこと、そしてポルトガルやその周りの国々のことについて宣教師を質問攻めにしたというエピソードがある。そしてその宣教師が帰国した時にこう言った。

「日本人ほど、論理的な民族はいない」

「論理性」というと西洋人や海外の人たちのことを考えてしまい、日本人は感覚的だろうという考えが多いが、歴史的に切りつめていくと実は「論理的」であったのは日本人である。それについて西洋人たちはもっと勉強し、戦後の日本はそう言ったアイデンティティが破壊された。「なんとなく、日本人」になったのはアメリカら戦勝国のせいと言える。しかしそれに甘えてしまった日本人も日本人である。日本人が日本人であるためにまずすべきことは日本語と日本の歴史を事細かに勉強することである。日本の歴史を勉強するだけでも先人のすごさや今の日本を気付きあげてきた人たちへの感謝になる。そして戦前・戦中の軍隊の日本への勇ましき姿を垣間見ることができる。決して自虐史観にはまらない真の日本人になれる。それこそ日本人としてのアイデンティティを養う一つになる。そしてそれを世界に発信していけば必ずや日本は誇れる国になる、「日はまた昇る」のだ。