故国を忘れず新天地を拓く

今も昔も変わらないことだが、面積の割には人口が多い日本。しかしあふれかえる人口をどうにか分散しようと台湾や韓国を併合し、インフラを整備して日本人を移民したり、満州を建国しそこでも移民を推進したりした。本書はそういう所ではなく、カナダやハワイ、北南米への移民に関して書かれている。

当然そこでは非常に過酷な環境であったが、日本人の根性の強さに感動し、現地の人々に勇気を与えたということには称賛に値する行動であった。そしてその移民に関しては「学問のすすめ」で有名な福沢諭吉や「武士道」の新渡戸稲造、さらに北海道開拓の立役者の1人である榎本武揚らの移民論についても書かれている。最後には現在経団連が猛反発している日本への移民についてである。

移民というのは日本は縁遠いかもしれないが戦前戦後の時代はそう言った移民が非常に多かった。しかし人口の過多、そして高齢者人口の増加によって移民でないと労働人口を維持できないような時代に入ってしまいかねない。そのことを考えると高度経済成長以後の日本の政策の無策さについても追及する必要があるのと同時に、少子化防止、そして高齢社会に対応した社会の在り方ということもまだまだ追求する必要があるように思える。

しかし先進国はこれから、あるいはもうすでに高齢化社会を迎えておりこれからそういう問題に四苦八苦することだろう。その時だからでこそ日本はこういった問題にリードする立場でなくてはいけない。