MONTH

2008年10月

姜尚中の青春読書ノート

東京大学大学院教授で政治学者の姜尚中が熊本の野球少年だったときからずっと数多くの書物を読んでいた。本書では夏目漱石やボードレール、丸山眞男、マックス・ウェーバーの作品をピックアップして姜尚中自身の半生を綴っている一冊である。 とりわけ私が衝撃を受けたのはボードレールの「悪の華」についてである。 「愚癡(ぐち)、過失、罪業、吝嗇(りんしょく:「ケチ」ということ)は  われらの精藭(こころ)を占領し、 […]

欲ばり過ぎるニッポンの教育

一昨年の教育基本法改正や全国学力テストなど教育に関する問題は後を絶たない。さらに今では「教育格差」や「学力格差」が叫ばれており、今日の教育問題に暗い影を落としている。さらに今では文科省をはじめ多くの教育評論家たちがフィンランド式教育に注目を集めている。PISAの学力調査で世界一になったことが起因となっている。またそれとは逆に詰め込み式教育への回帰を唱えている論者もいる。確かにPISAで世界一になっ […]

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する

ブルー・オーシャン戦略に関する本がたくさん出ている。本書はその原点となった1冊である。ちなみにこの「ブルー・オーシャン」とは競争原理が全くない未開拓市場のことであり、逆に競争原理により血みどろの戦いが繰り広げられていることを「レッド・オーシャン」と呼ばれる。 ではこの「ブルー・オーシャン」をどのように見つけるのか、そしてどのようにして戦略を立てて、どのように実行すればいいのかについて書かれている。 […]

日本二千六百年史

本書は昭和14年に発売されたものの復刻版であるが、本書の最初の部分にも書いてあるが、不敬罪違反により削除された部分も復刻している(つまり初版版を復刻したと同じである)。そういう意味では歴史学上最も重要な文献の一つと言えよう。ちなみに当時では20万部以上のベストセラーとなった。 さてこの著者である大川周明であるが、起訴されたA級戦犯の中で唯一の民間人であり、さらに精神疾患(後に「脳梅毒」と判明)によ […]

なんとなく、日本人―世界に通用する強さの秘密

表題にひかれてしまった。元長野県知事であり新党日本代表の田中康夫氏の「なんとなく、クリスタル」にいかにもパクリのような感じの表題であったため本書を手に取ってしまった。しかし内容紹介に書いてあるとおり21世紀を生きる日本人の多くは「なんとなく、日本人」果ては「地球市民」と答える人もいる。そんなぬるま湯のようなことになっていたら当然国際間の競争にも負けてしまい、ついには日本人が1人もいなくなるというよ […]

なぜ日本の政治経済は混迷するのか

日本の経済はアメリカのサブプライムローンの焦げ付き問題のあおりを受けたせいで景気は減速し、日経平均も8,000円台前半まで落ちてしまった。しかし今回の経済減速の原因はアメリカにあるので日本はそういったアメリカの道連れからの脱却を考えることも大切なのかもしれない。 しかし本書でも挙げられているとおり「失われた10年」は日本がこの経済政策を迅速に行っておらずむしろ放置してしまった結果によるものである。 […]

戦前・戦後の本当のことを教えていただけますか

本書は一昨年の3月に亡くなられた兼松學氏の戦前・戦後のことをつづっている。ちなみに兼松氏はこの当時は鉄道省に入省し、霞が関で大東亜戦争を体験した。そしてその後の日本の戦後のことについてありのまま話された。 第1章は戦前の暮らしについてだが、父の誇りと共に勉学そして遊びにがむしゃらだった少年時代から外国人と英語で論争、東京帝大時代から鉄道省に入る前までのことである。旧制中学というと現在でいう高校であ […]

ワンランク上の問題解決の技術《実践編》

26日の日曜日に本書の出版記念講演&パーティーに参加することなのでまずは予習をしていくために本書を手に取った。実際に今回の講演は本書に書かれていないことが主であることなので、まず本書を頭に入れておかなければという気概にあふれている。さて本書の中身をみる。 本書はGE流の問題解決術及び解決メソッドを綴った1冊であるが、その中身というのは「ファンクショナル・アプローチ」をもって問題解決にあたるというも […]

名ばかり管理職

昨年の秋ごろに「日本マクドナルド」で起こった残業代支払いを巡って起こした裁判がある。そこで「名ばかり管理職」というのが話題をさらった。先の裁判は地裁で原告の勝訴となったが、マクドナルド側が控訴し現在も係争は続いている。この窮状について昨年の11月に「クローズアップ現代」でも取り上げられた。げんざい「名ばかり管理職」が数自体は把握できていないもののコンビニやファミレスといった業界を中心に数多くいると […]

歴史和解は可能か―東アジアでの対話を求めて

まず表題から意見を言う。 「絶対に不可能」である。 実際日本は従軍慰安婦など戦争責任について河野談話や村山談話でお詫びをしているがそれに関する、もしくはその歴史的史実の値する史料というのが一切なく、何を根拠に誤っているのかよくわからないこと。さらに中国の江沢民政権下では数多くの反日・抗日記念館が建っており国家主席を引退する直前には日本に対して未来永劫このことを突きつけるよう幹部に指示したとも言われ […]