クリエイティブ・トレーニング・テクニック・ハンドブック

クリエイティブスキルを身につけるためにはどうすればいいかというのをハンドブックにしたのが本書であるが、何せデカイし分厚い(420ページ)。クリエイティブ研修で1カ月以上研修をする時には格好の教材となるが、いかんせん私は書評をする立場。これについての内容は本当に教材の例示ややり方が事細かに書かれているためやってみないと分からない状態である。しかし面白いのがこれを使ってセミナーを開いてみたいという野望もできてしまう1冊である。少人数制のセミナーにしてこれに沿った内容をトレーニングを行う。そしてそのあとは楽しい飲み会、という考え。そういうのもありかもしれない。

さて本書で印象に残るものというと「先達の言葉」が印象的であった。いくつか紹介する

「優秀な講師は、学習者が新しい情報を学ぶ際に必要な、具体的な予備知識があるかを考える」(p.50)

「目新しいものやサプライズがあると、学習者は研修にますます興味を持つ。研修のトピックを想定外の方法で紹介した場合、学習者の興味やモチベーションは高まる」(p.62)

「学習者には、集中力と教えてもらう事柄の重要性を把握しておくことが必要です」(p.64)

講師は必ず学習者のレベルを気にする。学習者のレベルというのは多ければ多いほどそれに合わせることは難しいが、それらのレベルをいちいち判断するのは難しい。しかし事前にレベルを判断することによって行使者もどのように教えればいいのか考え、学習者も高氏の教えることに理解を示すことができる。さらにサプライズをちりばめられることにより学習者は淡々とした空気から抜け出し、自ずと興味を持ってしまう。講師の真骨頂であるが、これを出すタイミングというのもなかなか難しい。講師もクリエイティブな職業かもしれない。

「図法を使って研修を進めると、教える時間を28%短縮できるという研究結果が出ている」(p.105)

プレゼンでもわかりやすい教材でも図表がちりばめられている。とりわけ私たち漫画等で育ってきた世代はそういった感受性が備わっている。そのため図表を用いると理解が早く教える時間も短縮でき、さらには限られた時間の中で内容を凝縮できる効果があると考えられる。

「優秀な講師は、学習者に新しい情報を活用し、練習できるような場を提供する」(p.190)

研修に限らず学ぶということはインプットとアウトプットの連続である。いくらインプットしてもアウトプットできるところができなければ意味がない。そこで得た新しい情報をどのように使うのか練習を盛り込んでいくのも講師が行う役目の一つであろう。

クリエイティブというのは「創造」ということであるがではそれをどのように想像するのかというのは難しい。しかし江周は様々な方法が乗せられていたため実践する価値は非常に高い。