世界一高いワイン「ジェファーソン・ボトル」の酔えない事情―真贋をめぐる大騒動

私はワインのことについてはあまり詳しくはないのだが、本書でワインにまつわる様々なことについて書かれているため前知識が必要に思える。さて本書のことに入るとする。本書は1985年に起こった「ジェファーソン・ボトル」についての真贋騒動を描いたノンフィクション作品である。まずこの「ジェファーソン・ボトル」について詳しく書くことにしよう。

「ジェファーソン・ボトル」、このジェファーソンはアメリカ第3代大統領のトーマス・ジェファーソンのためにつくられた1787年製の「シャトー・ラフィット」というワインのことを表す。この「シャトー・ラフィット」というのは歴史的にも「王のワイン」として知られており。フランス革命前から長きにわたって宮廷などの上流階級御用達のワインであった。フランス革命以後はロスチャイルド家にわたったが第二次世界大戦で解散させられた。戦後はその所有権を取り戻し現在も高級ワインの一種としてセレブたちに愛されているワインである。

今回取り上げられているのは1787年モノの「シャトー・ラフィット」で別名「ジェファーソン・ボトル」と言われているものだが、訴訟当時から換算しても約200年前につくられたものである。それほど長きにわたって現存できるというのもまた驚きではあるがこの信憑性についての一部始終がなかなかスリリングで面白いところがある。それと同時にワインに関するありとあらゆる技術や蘊蓄が盛り込まれているため入門書とともに読んでみるか、何度も読みとおしたほうが私はいいと思っている。

本書はただ面白いだけではない。ワインの如く読めば読むほど本書の深みが出てくる。そういう一冊である。

余談ではあるが本書は後々映画になるというこというが、これもまた本書と同じように一度見るだけではあまり分からないような作りになっているのではないかと推測できる。

コメント

  1. ブショネ

    ここ数カ月というもの忙しい日々が続いていて、家でゆっくり酒を飲むこともできずにいた。できずにいた、というか、知らず知らずのうちにその余裕を失っていた、という方が正確かも知れない。心を亡くすと書いて「忙しい」というのは、頓知が効いているけれど、実はなかなか怖い話だ。ともあれ、束の間の余裕を取り戻して開けたワインは、僕が初めて自覚するブショネだった。いや、そこまで確信はないのだけど、恐らくそうだったろうと思う。それは初恋の記憶のように、曖昧で、それでいて、深い苦味を味蕾に残した。…

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