常識崩壊

「食品偽装問題」「サブプライム」「ねじれ国会」など、日本の常識が崩壊していると元検事(通称、モト検、ヤメ検)の国際弁護士牛島信氏が、弁護士からの目線で今の事件や事柄について常識の欠如・崩壊を危惧しているエッセイ集であるが、本書自体は「Lexis 企業法務」や「月刊ザ・ローヤーズ」などの法律系の雑誌において連載していたものに追記をしたものである。

著者の専門はコンプライアンスや企業法務と言ったところにあるせいか、それに関連した指摘が多いように思える。そう考えてくると「食品偽装問題」やライブドアや村上ファンドと言ったところはコンプライアンスにかかわってくる。

企業法務となると最近話題となった「内部統制」や 「買収」などがある。買収と言ってもかなりの種類があり、「M&A」は一般てきで、「TOB(株式公開買付)」、「MBO(経営陣買収)」と言った用語が出てくるので結構難しい。

弁護士の視線から、巷でニュースとなった事柄、とりわけ自分の専門領域に関しての評論を行っており、今の常識に関して疑問視しているようだが、そもそも常識は誰を基準にしているのかという所から疑わなければならないそれを解き明かすのならば日垣隆氏のこの1冊をお勧めしたほうがいい。

さまざまな常識についてウソを見抜いた一冊である。上記の本も確かに法律的観点からウソを見抜く良書ではあるが、タイトルのような衝撃的な内容ではなかったのが期待外れである。日垣氏の本はそれはまず裏切らない。良書で言ったら後者の方がはるかに上であろう。