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2009年3月

李登輝の実践哲学―五十時間の対話

おそらく私の尊敬する李登輝の本の中でこれほど本懐を示したものはないだろう。彼自身自分が学んだ哲学を実践し、学んだ学問を政治の世界で昇華し、台湾民主化を実現させたのだから。本書はその哲学の実践を李登輝自身が学び、実践したものを井尻氏との対談によって明らかにした一冊である。李登輝のことについて学びたい人にとっては若干とっつきにくいので、「李登輝学校の教え(小林よしのりとの共著)」、または漫画で「新・ゴ […]

ブログ改造のお知らせ

当ブログを訪問したらわかると思いますが、現在ブログを改造中です。皆様方に葉大変ご迷惑をおかけして大変申し訳ありません。 現在やっている改造について説明いたします。 <カテゴリー編集> 「時事評論○番勝負!」を廃止いたしました。最終更新が6月19日以降ずっと書評ばかりに行っていたため、もう役目を終えたということで廃止することにいたしました。 「書評の部屋」のカテゴリーを分割することにいた […]

台湾意識と台湾文化―台湾におけるアイデンティティーの歴史的変遷

本書は中国語による「台湾意識与台湾文化(台湾大学出版中心、2007年)」より1・3・4・6・7章を抜粋して日本語に翻訳したものである。台湾の意識というのは時代とともに大きく変わった。戦前には日本の植民地として日本人意識を学び、蒋介石率いる国民党での政策により、中国寄りになるが民主化への運動が活発になり、李登輝が相当になってから民主化され、2000年には台湾初の選挙による政権交代、2008年にも政権 […]

ロシアはどこに行くのか─タンデム型デモクラシーの限界

昨年の5月にロシアの大統領がネドベージェフとなり、8年間大統領の椅子に座っていたプーチンは首相の座に座った。しかしロシアの政府では「首相」こそ最高権力者である。しかも大統領と決定的に違うのが、人気がない、つまり何年でもその椅子に座れるということである。ネドベージェフは表向きではロシアの「顔」になったのだが、実際はプーチンの傀儡になっているという様相もある。プーチン政権時代は豊富な資源を用いて経済を […]

小飼弾の 「仕組み」進化論

「404 Blog Not Found」でおなじみの小飼弾氏の1冊。今年は「仕組み」の年なだけにまさに狙っていたかのような1冊である。 では小飼氏の言う「仕組み」とは一体何なのかということについて紐解いてみよう。 Part0「仕組みづくりが仕事になる」 「20世紀の歴史は、「仕組み化」の歴史でした。  今、その仕組みを見直す必要が出てきています。」(p.12より) 「仕組み」という言葉は、今の私に […]

老いの身辺をさわやかに生きるための言葉

日本は高齢社会となり、やがて「超高齢社会」となる。 高齢人口は日本の人口の4割を占めることになる。 健康的な高齢者がいる中で、明日の人生も分からない人もいる。 高齢になるのを怖れている人もいる。 ではどのようにして老いたらいいのか。 「老い」との付き合い方とは何なのか。 本書は作家の曽野綾子氏がこれまでに書いた作品の中から「老い」と「生き方」をテーマにして選りすぐりの言葉を1冊に詰め込んだものであ […]

会社に人生を預けるな リスク・リテラシーを磨く

勝間氏の新刊を見るとこう思えてならない。 「中谷彰宏ばりになってきたなぁ」と。 中谷彰宏と言えば当然自己啓発本など800冊以上を世に出している。年齢がもうすぐ50歳なので、著者としていつデビューしたのかはわからないが、一応85年と概算する。というのは博報堂に入社したのが84年だとしての計算なのであまりあてにならないが。85年と概算すると24年間、だいたい1年に33冊ほど出している。月に概算すると3 […]

21世紀の国富論

アダム・スミスの「国富論」を21世紀版にして書いたのが本書である。「国富論」のことについてちょっと簡単に説明しておく。 「国富論」は略称であり、正式には「諸国民の富の性質と原因の研究」という。これはアダム・スミスが1776年に出版された著作である。出版された時は産業革命が起こっていた時であり、工業、特に手工業(マニュファクチャル)というのが盛んだった時である。 ちなみにここで出てきた有名なものは「 […]

本質を見抜く「考え方」

京都大学の教授であり、国際政治学者である中西輝政氏が政治学としての「考え方」を伝授した一冊である。本書のまえがきで、 「私たち学者は、常にこの(他人のゆがんだ視点などの支配)危険に身をさらしていると言えます。」 つまり他人の考えを鵜呑みにしてしまい、自分の思考が停止され、本来学者であるべきの考え方が破壊されてしまう恐れがあるのではないかというのである。これは学者に限らず、私のように書評を行うものに […]

常識崩壊

「食品偽装問題」「サブプライム」「ねじれ国会」など、日本の常識が崩壊していると元検事(通称、モト検、ヤメ検)の国際弁護士牛島信氏が、弁護士からの目線で今の事件や事柄について常識の欠如・崩壊を危惧しているエッセイ集であるが、本書自体は「Lexis 企業法務」や「月刊ザ・ローヤーズ」などの法律系の雑誌において連載していたものに追記をしたものである。 著者の専門はコンプライアンスや企業法務と言ったところ […]