脱スラ!―スランプ脱出!プロが教える超鉄則

人は誰しも「スランプ」というのは必ず出てくる。恥ずかしながら私も年度初め前後はスランプであった(たまたまF1があったので毎日継続できたというのは御愛嬌であるが)。
そのスランプというのはもがけばもがくほどその泥沼にはまっていってしまう厄介なものである。本書はそのスランプの脱し方をケーススタディを兼ねて紹介している。

第1章「スランプとは何か」
スランプの意味は上記のとおりである。しかしスランプに陥った時、著者はこう口にするという。

「君のスランプは山で言うと、どんな山だと思う?」(p.13より)

先週までのスランプの場合を考えると、エベレストという喩えもできるし、山登りが非常に難しいマッターホルンという喩えもできる。しかし本書を読んでいる時は、有名な山の名前に喩えることはできないが、ロッククライミングしかできないほどの絶壁しかなく、標高の高い山を想像した。苦しい道しかなく、その道は長く険しいことを喩えたまでだが。しかしそれがスランプを形にしていかに脱出するのかという入口になっているのである。その山と自分の位置を見て、どのようにして頂上までたどり着けばいいのかということを想像して挑戦する。時にはくじけるときはあるけれども、楽観的に、ときには頑張りを弱めてもいい。自分のペースで挑戦していくことが第一歩であるという。

第2章「スランプの特効薬」
「スランプの特効薬」は端的にいえば「休み」である。とは言っても寝たり、ただダラダラとしたものではなく、違う分野で時間いっぱいスケジュールを組み、スランプの原因を考える時間をなくすことが肝心である。
そしてよほどのスランプの場合は「捨てる勇気」を持つことも大切であるという。本書では元フジテレビアナウンサーの大橋マキを例に出している。アナウンサー、とりわけ女子アナは精神的にも肉体的にも重労働とも言える。それはそのまま映し出されるTVにどんなに疲れていてもそれを絶対に見せない、周りの方々に気配りをする、さらに不況のご時世であるから仕事の量が格段に増える。そういった苦しみがある。本書では良い例を紹介しているが逆に、悪い例としては一昨年自殺した元TBSアナウンサーの川田亜子の例がある。彼女も人気女子アナとして旋風を巻き起こしたのだが、フリーに転向。その後は散々足るもので、アナウンサーの心労が重なり自殺に追い込まれたという。ストレスやスランプ社会の象徴の一つと言えるアナウンサー。そこからどのように脱して生きていくのかというのは人それぞれだが、大きなカギとなっていることは間違いない。

第3章「スランプ脱出力」
一生に一度のチャンスを失っても命まで奪われることはない。さらにピンチの状態だとしても天変地異が起こらない限り命を失うということはない。人生はいくらでもやり直すことができる。そう言った気概がスランプを脱する一つの方法である。前章では、楽観的になったりすることについて書かれていたが本章ではそれだけではなく、自分の「一番」を見つけることも、厳しさにつかるのもスランプを脱する一つの方法であるという。

第4章「成功する人のスランプ抵抗力」
トラブル、マンネリなどは必ずやってくるものである。それが大きなスランプの入口ともなりかねない。しかし一度それを脱することができれば、「壁」のようにそれが試練ではなくなり、平常心で立ち向かうことができる。人は誰しもスランプはある。そのスランプにどんどんなっていくのと同時に、はまったらあせらずに乗り越えていく、ときには視点を変えたり投げ出したりすることでもいい。

スランプの時期に本書をすかさず手に取ったのだが、誰しもあるスランプの脱し方をただ読んだだけでもスランプを脱することができた。気分が楽になれた。あとはこののちにまたスランプがあるのかもしれないのでその時にはもう一度この本を読み返すというのもいいかもしれない。
スランプの時、傍にあったほうがいい一冊と言えよう。