人に好かれてうまくいく「愛嬌力」 はずむ人間関係をつくる仕事のしかた

「男は度胸、女は愛嬌、坊主はお経」という故事成語がある。しかし今の社会では「男は愛嬌、女は度胸」というようなあべこべの感じがしてならない。私もそうだが男はもっと強くなれ…と言いたいところだが、昨今の社会状況を見る限りではどうやらこの「愛嬌」や「ユーモア」と言った人間的な要素が欠落しつつあるのではないかと危惧してしまう。インターネットの普及により人間間での生きたコミュニケーションというのが疎遠になってしまったというのが一つの要因かもしれない。逆に言うと「愛嬌力」をつけるとビジネスの場においても、人生においても有益なものになるチャンスなのかもしれない。

プロローグ「愛嬌力のある人が、運と縁を引き寄せる――「あの人」が可愛がられるのにはワケがある」
第1章「愛嬌力に必要な三つの要素――弾む人間関係をつくる「ゴムまり」の法則」
まず最初にあるのが「「可愛がられ度」診断」である。ここではチェック形式で全20問の質問を答えるというものだが、私の場合、全部で12個。ギリギリ普通と言ったところである。とはいえ「とっつきにくい人」と言われる可能性が大きいので、「愛嬌力」が重要だということを痛感する。
さて第1章では、愛嬌力に必要な要素を取り上げるにあたり「ゴムまり」を喩に出している。「適度に空気が入っていて、弾んで、それでいて丈夫」というのが3つの原則であるが、カドの立たない人、会話の弾む人、ちょっとしたことでもへこたれない人という風に言える。
「ゴムまり人間」が愛嬌力の要素をもっている、ということ。

第2章「あなたが愛嬌力を身につけるためのヒント」
今度は愛嬌力のメカニズムについてである。相手を肯定し、明るくいることによって愛嬌が生まれる。しかし「愛嬌≠媚び」であること。というのは断り方にも愛嬌があるということがある。一方の「媚び」は何が何でも「Yes」で片付けてしまう「イエスマン」、さらに言うと気の合う相手の意見ばかりそうだそうだを言う人を指す。しかし「愛嬌力」は断り方、反論の仕方にも通用する。相手を立たせながらも自分の意見を言うことができる、それでいて相手との衝突が限りなく0に近づく。
その愛嬌力を身につけさせるためには相手にカドを立たせるような言葉、ネガティブな言葉はタブーで、相手をポジティブにさせることが鉄則とされている。

第3章「人の心をひきつける「見方、考え方」――素直な人こそ、チャンスをつかむ」
「素直」
文字に起こせば簡単なのだが、これが実にやっている人が少ない。例えばほめ言葉を受けてどう返すにも自分を謙遜するような言葉を使う、もしくは否定するような言葉を使うということが多々ある。「日本人が「謙遜」を美としている文化」と直結しているのかもしれない。
しかし、褒められたら素直に喜ぶことが、相手にとっても自分にとってもいいのだという。確かに相手に気を使っていては、相手もいい気はせず、お互いにストレスをためることになる。ストレスをなるべく減らすのであれば素直になることがいい。

第4章「相手の関心を引きとめる「聴き方、話し方」――ちょっとした一言で印象ががらりと変わる」
「聴く」にしても「訊く」にしても「相手を知る」姿勢が必要だという。相手に声をかける時、返答の仕方など愛嬌を見せるためにどうすればいいのかということについて書かれている。

第5章「人に可愛がられる「人間関係の磨き方」――場の空気が読める人、読めない人」
相手への歩み寄りと謙虚な姿勢というのが大事であることを説いた章である。そのことによって本章では「ラポール」を築くという。「ラポール」とは、

「フランス語で、「互いに親しい感情が通い合う状態」のことをいい、複数の人々の間で構築される共通理解と信頼感を意味する心理学用語です。」(p.154より)

という。歩み寄りと謙虚な姿勢が自然に人の輪ができる。姿勢のみならず、お礼や「おかげさま」などの言葉においても使うことができる。
「礼はいくら尽くしても、尽くしすぎることはない」
というのがひしひしと伝わる所である。

第6章「愛嬌力をアップさせる「自分の磨き方」――「あの人いい感じ」と思われる人の共通点」
「しゃれっ気」を持ったり、積極的に決断をし、長所を伸ばすことで愛嬌力を伸ばすことができる。最初に書いてあったが「「愛嬌力」で欠点を相殺する」というのが具体的に示されているところとも言える。

「愛嬌」というと女性が似合う言葉ともとらえられるが、男性においてもこの「愛嬌」というのが必要である。「ムードメーカー」という存在が稀有とされる、もしくは不況で会社内の士気がなくなる中「愛嬌」を磨いたもの勝ちと捉える事もできる。
この時にこそ、「愛嬌力」。それに尽きるだろう。