出版業界の危機と社会構造

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出版業界の危機と社会構造 出版業界の危機と社会構造
小田 光雄

論創社  2007-11
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今日「出版不況」と言われて久しい。毎日約200冊もの新刊が出ているのにもかかわらず、売上冊数、金額ともに右肩下がりであり、危機にひんしていると言ってもいいかもしれない。その原因として挙げられるのが、
・インターネットの普及により本を読むのが必要なくなった。
・活字自体読みたくなくなった。
・ブックオフなどの古本販売チェーンが急激な成長。
などだと思う。
本書はここ最近起こっている「出版危機」をインタビュー(議論?)形式で分析を行っている。著者の相手はおそらく本書の編集者か、出版社の方であろう。第1章には言った矢先にいきなり火花を散らすような文言が出てきていたのだから。

第1章「二一世紀初頭出版業界クロニクル」
ここでは2001年から2007年9月までの出来事をもとに出版業界がどのような道を辿っていったのかということを分析したところである。
この21世紀の中で顕著に出ているのが出版社や書店の倒産が増えていること、業務提携も出てきている一方で、大型書店が次々と都市圏に大規模の書店をオープンさせたことも目立つ。もう一つはTSUTAYAやブックオフ、ゲオといった古本販売チェーンの躍進が挙げられる。さらに言うと自らの足で書店に行かなくてもAmazonがあり、ネット上で購入することができるという仕組みができている。また本書が発売されて2年経った今年のことだが、「Google書籍データベース訴訟」というのが起こった。日本書籍出版協会や日本文藝家協会は和解と共に削除をすることを推奨すると発言しているが、出版業界はこれ以上ないだけ気となり得ることは間違いない。これまでも書籍の売り上げ部数や金額の減少で喘いでいただけに、出版にまつわるアプローチを変えなければいけない時代に入ったのではないかと推測する。

第2章「出版業界の現在分析」
今度は出版業界、主に書店の分析に重きを置いている。私は現在川崎に住んでいるが、市内中心部だけでも丸善有隣堂あおい書店などの大型書店がある。以前は北海道に住んでいたのだが、ここでは紀伊国屋書店旭屋書店喜久屋書店に行ったことをよく覚えている。
出版業界の現状ばかりではなく、書店の現状にもスポットを当てているのがこの第2章である。書店の廃業が多く、新規開店が少ないのは「出版危機」と呼ばれる前からあったのだが、そういう時期に多く見られたのが「大型書店ラッシュ」であろう。
大型書店の利点というのは洋書など中小書店では置くことができない代物が置いてあり掘り出し物が見つかりやすいというのがある。そう言う意味では便利である。
しかしこの大型書店ができたきっかけとしてあるのがショッピングセンターである。私がよくいく3つの大型書店はいずれもショッピングセンターなどの大型施設の中にある所である。以前言っていたところでは紀伊国屋を除けばそれに該当する(紀伊国屋は自社ビルを使っている)。おそらく休日の時の家族連れや、終業帰りのサラリーマンの方々をいったところをターゲットにしているのだろう。駅に隣接しているか、かなり近いところにあり便利なところが利点であろう。

第3章「出版敗戦と第二の敗戦が意味するもの」
「出版敗戦」というのは聞きなれない言葉である。「敗戦」というと第二次世界大戦、大東亜戦争から出た言葉である。最初は日本が圧倒的有利の中で戦えたのだが、ミッドウェー海戦の敗北により、徐々に戦力が低下し、降伏に至った。では出版業界における「敗戦」とは一体何なのかというと、「年次改革要望書」による法律制定の指示や要望に応えたということを言っている。
第2章で出てきた大型店舗に関連するが大型施設や店舗が建てられたきっかけというのが1979年の「大店法(大規模小売店舗法)」の制定にあるが、制定時はそれほど目立ったものではなく、むしろ商店街などの中小商店には優しい法律であった。
所が日米構造協議などで大幅に規制が緩和され定期、2000年には新たに「大規模小売店舗立地法(大店立地法)」が制定された。このことにより、大規模店舗の立地が目立ち、中小商店が軒並み閉店に追い込まれ、地方の商店街がシャッターばかりとなっていった。
出版業界とは論点が乖離しているような内容ではあるが、大型書店がどうして建てられるようになったのかということを辿っていくと避けて通れない道である。その理由からこの内容に踏み込んだのだろう。

出版業界と書店についてどのようなところから原因があるのかというのを考察していくが本書の狙いだという。業界のみならず法律、アメリカといった情勢というところまではいっていくともはや犯人探しというのはばかばかしくなってしまう。
ではどうすれば出版業界は活性化させるのか。皆が本を読もうとする気概を持たせることに限るが、我々がネットやリアルの場で盛り上げていきながら読まない人たちに伝播していくことが使命なのかもしれない。

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