フードセキュリティ―コメづくりが日本を救う!

現在日本の食料自給率は40%である(カロリーベース)。大概の人は「低い」という答えが返ってくるだろう。私達が食べている食料の半数以上は輸入に頼っているという計算になる。その海外では干ばつや台風、洪水といった異常気象というのが頻繁に起こり、安定的に輸入できるのかというとそうではなくなってきているのが現状である。

もし輸入にしか頼っていない食材のほとんどが輸入されなくなったら…日本は生き残れるだろうか、というマイナス思考に陥ってしまう。

しかしその農業事情でも救世主はある。そう、「コメ」である。

日本の「コメ」は93年の大冷害を除いてはほぼ安定的に生産されており、価格も法律の改正により若干安くはなっているものの安定的な価格である。そして何よりも日本人の口に最も合いやすいのも「コメ」である。本書はその「コメ」の可能性を駆け、日本の農業はどうあるべきかというのを説いた一冊である。

第Ⅰ部「食の「安全」についての不安」
最近では叫ばれなくなったが、ちょっと前に「食品偽装」が社会問題となった。「食のモラル」に関しては最近よくなってきてはいるものの、まだまだ油断できないところである。
さらに輸入品でも添加物もさることながら、食の「安全」というのがどのようなものなのかというのが分からなくなっているのが現状である。

第Ⅱ部「食の「糧」についての不安」
こちらは「食糧」問題の現状である。
最初にも言った通り日本の食料自給率は先進国の中でも低い。6割が輸入に頼っているわけだから輸入検疫を十分にしていかないというが、昨年の初めには中国の毒入り餃子が話題をさらった。検疫は日増しに厳しくはなっているものの、こういった現状も怒っていることから改善の余地はまだまだあると言っていいだろう。
それだけではなく海外では異常気象が頻発していることにより、安定的に輸入できるという保証がほとんどない。とりわけ環境問題による「干ばつ」は深刻化してきている。それによる「水不足」も懸念されている。
さらに食料貿易の自由化を求めて日本が圧力をかけられているのも事実としてあげられる。特にドーハラウンドでは関税削減が多く盛り込まれており、その中でもコメも含まれており、日本にとっては死活問題に直面しているといってもいい。
そのような中で日本には救いがあるのか、というとある。

第Ⅲ部「コメづくりが日本を救う!」
ほぼ毎年安定的に生産されているコメ。しかし経済成長によりだんだんコメが食べられなくなり、「生産過剰」に陥った時があった。当然コメの値段は暴落する。それを阻止するために対策をとられた。それが「減反」である。
しかし年がたつにつれてコメのみならず、農作物の生産量が減少してしまった。食料自給率も下がっている。ではどうすればいいのかというと、簡単にいえば「減反」の廃止である。
では過剰に生産したコメはどこに行くのか。最近中国や台湾では日本のコメが売れており、特に富裕層には大人気であるという。そういった層に売るという手も存在するが、これをやり続けると、農業先進国やWHOが黙ってはいないという考えも起こりさえする。しかしやらないわけにはいかない。日本のコメの良さを世界に知らしめるという絶好のチャンスである。

農業はこれから元気になると言いたいところだが、農協が牛耳っていたりとどす黒い部分というのがまだまだ見え隠れする。これについては「農協の大罪」というのがあるのでこれから読んでみたいと思う。