コンサルタントの「質問力」

「質問」というのは仕事の場においてもプライベートの場においてもつきまとうものである。本書のタイトルである「質問力」は私としてもぜひ磨いておきたい技術である。

本書はコンサルタントの立場から見た「質問力」の鍛え方について伝授した一冊である。本書は昨年3月に発売されたものであるが、25万部も売りあげたところを見ると、いろいろな場所において「質問」の重要性がいかなるものかがよくわかる。

第1章「その道のプロは、「質問力」が命」
コンサルタントというとクライアントといった客の意見や要望を聞くために「質問」というのがカギとなる。
ではこの「質問力」のある人は、著者がいうことにはこれらの力があるという。

①「聞く力」
②「感動力」
③「俯瞰力」
④「聞き出し力」
⑤「物語力」
⑥「空気を読む力」

すべてなくてはならない力であるが、とりわけ①が重要な要素となるだろう。相手の意見を聞きながら合の手を打つように質問を使い話をより深く掘り下げられたものになる。

第2章「「仮説力」がなければ話は始まらない」
さて質問力をつけるにはということでこの第2章から「仮説力」「本質力」「シナリオ力」の3つにわかれて伝授している。
「仮説力」というとビジネス書においてもそういった力を推奨する本が多くある。
「仮説」はいろいろ立てていき「検証」をするために質問を講じる。そこから「本質」を突いていく。

第3章「「本質力」こそ、こだわりの質問を生むエッセンス」
質問をするということで本質を見抜いていく。著者はソクラテスの「産婆術」を取り上げられている。本質を見抜くということの重要性を哲学史を用いて主張しているが、まさに哲学も世の中の本質を突く役目として重要な位置にあるというのが分かる。
しかし本質を見抜くにはどうすればいいのかというのには、今のところ明確な答えがないように思う。本章もあくまで著者自身の体験と仮説に基づかれたものであることを前置きしたほうがいい。
ここではうなずきやまとめ、語彙力、ワンメッセージといったものが紹介されているが、とりわけ印象に残ったのが「語彙力」である。日本人が最も鍛えるべきところなのがこの「語彙力」である。何度も持論をするつもりはないので割愛するが、微妙な表現をすることによって、日本語の深みというのが出てこない。本書では「語彙数推定テスト」というのが紹介されているのでぜひやってみたほうがいい(私もやった結果を追記しようと思う)。

第4章「「シナリオ力」で、質問の目的を達成する」
質問は何も1つだけではなく芋づる状、ツリー状に質問を展開させていく。その中でそのような答えを求めるのかというところを図式化、物語化、フレームワーク化して考えることが「質問力」の完成型であるという。

「質問力」の醍醐味について味わえた一冊である。「質問」の在り方についてどのように見極めたらいいのか、そしてどのように「応用」していけばいいのかというのを本書は教えてくれる。ただし、「質問」に関しての入門書ではなく、どちらかというと「中級編」の位置付けとなる。とはいえ質問の仕方はわかっていても、どのようにして掘り下げていけば分からない人が多かったことにより、本書がベストセラーになったのであれば、プロのコンサルタントのやるような質問技術の凄さが窺えるという一冊と考えられる。