今すぐできる! ファシリテーション

本日もまた自分の体験ネタとなってしまうのだが、SEの仕事で多く時間を割かれるのがレビューなどの会議ものである。特に議題は定められているとは言っても「ああでもない」「こうでもない」といった議論になれば、白熱はするものの、時間を忘れてしまうほどとなれば困りもの。さらには意見の一点張り、堂々巡り、脱線しまくりの会議もよくあった。

さて、それを防ぎ会議を正しい方向に持って行かせる人こそ「ファシリテーター」であり、本書のタイトルである「ファシリテーション」である。

「ファシリテーション」をものすごく簡単にいえば「交通整理役」というべきだろう。
本書は会議のまとめ役、進行役を担う「ファシリテーション」の極意について伝授した一冊である。

第1章「「ファシリテーション」が会議を変える!」
ここでは「ファシリテーション」の良さと定義、そして役割について書かれている。非常に分かりやすく解説されており、「ファシリテーター」や「ファシリテーション」に抵抗感をもつ方でもこの章からみて緊張感を解きほぐせる。
ファシリテーションの意味がわかっており、具体的な方法について知りたいという人であれば本章を読み飛ばして第2章に行った方がいい。

第2章「効果的なチームを作るためのフレーズ」
「ファシリテーション」に課される責務として「会議を円滑に進めること」があげられる。そうさせる手段の一つとして「役割付け」「空気作り」というのがある。本章以降様々なケースに分けて珠玉のフレーズを紹介していきながら、ファシリテーションの極意を与えるというのが本書の役目といえる。

第3章「多様な意見を引き出すためのフレーズ」
本書の役目を知ったからには、会議の場で実践をしてみようといってもやらせてくれないところもあるため、ファシリテーター候補に任せるということも本書の役立つ一つの手段といえるだろう(「買わせる」というのもまた一興)。
会議なのでいろいろ意見がとびかう。その中でいろいろな意見が飛び交うというのもあるだろう。その引き出し役も「ファシリテーター」の役割である。

第4章「論点を整理して絞り込むためのフレーズ」
意見が飛び交ってくると自然に対立、脱線という意見が飛び交う。この2つは会議においての悩みの種といえる。
「ファシリテーター」は進行役であると同時にこう言った「交通整理」という役割に大きな手腕が問われるようになる。空気をよくしながら、議論を正しい方向に持って行かせる。ときには時間にも気を使うなど、気苦労するところも多いように思える。しかしそれをやっていくことこそが、「ファシリテーター」の醍醐味と言えるだろう。

第5章「みんなが納得する結論をまとめるためのフレーズ」
いよいよ結論である。会議の中で結論に至ることもあるが、結論のあと一歩で横槍を入れたり、決定を渋ったりする人もいる。では結論に持っていかせるためにはどうするか、導かせるためにはどうするかというのが本章で書かれている。

第6章「ピンチ! に役立つ“とっておきの”フレーズ」
いかに優れた「ファシリテーター」でも、所詮は人間の行うことである。未知のケースというのはごまんとある。そういった時のフレーズというのも紹介している。
おそらく本書の中で最も重要な要素を占めているように思える。「ファシリテーター」の役割には私は1・2回しか回ったことがないが、想定しなかった危機に直面するというのが何度かあった(社会人になる前の話であるが)。その時にはグダグダで終わってしまったり、延々と会議が長引いてしまったりということがあった。
そういった状況下で本章のフレーズはどれも珠玉である。私もぜひみならう。

「ファシリテーター」の世界というのをあらためて知り、かつその醍醐味を知ったが、中でもピンチからの脱出のフレーズはなかなか興味深かった。これを知ったら、「ファシリテーター」の役割だけではなく、会議がもっと面白くなるだろう。