残業はするな、「前業」をせよ!―朝のスタートダッシュで人生が決まる

「残業はするな」関連の本はごまんとあるのだが「前業」というのは聞いた人はあまりいない。私も同じであるが、残業をするならに前の仕事を終わらせろ、もしくは今日やる仕事を朝早くに片付けろという意味合いから「前業をせよ!」と言っているのだろう。
本書は「前業」の良さについて、まさに目からウロコの力を伝授した一冊である。

第1章「広く、浅く時間を見渡せ――人より多く時間を持てる習慣づくり」
人間だれしも、1日に24時間をもっている。金銭では貧富の差というものはあっても時間における差というのはまずない。
ないのにもかかわらず「時間格差」を標榜する人は「時間の使い方を知らない」という何よりの証拠である。
時間の使い方によってはその価値を高めたり低くしたりすることができる。時間価値の高めるためには朝の時間帯を仕事、プライベートともどもどのように使うのかというのがカギになる。

第2章「不謹慎な人ほどうまくいく――満足感と能力は比例する」
思わず目を疑うところである。ここで言う「不謹慎」というのは一体何なのかというのか知りたいところである。
「自己満足」「食事を残す」「勉強をするな」というのを羅列すると、どうやらこれらが不謹慎なのかと考える。「不謹慎」というよりも何やら「型破り」と言った方が適当なのかもしれない。

第3章「仕事は公私混合でいい――自分と仕事の関係づくり」
「仕事」と「プライベート」ははっきりと分けろという人もいる。しかし本章も私の考えと同じく、仕事は公私混合として考えている。どんどん失敗しながらも、プライベートで仕事のヒントを見つけ、傷心という欲望に駆られることなく、「仕事」をする。着実に失敗をしながらも成果を上げていけば傷心の夢をかなえることができるというのが本章の主張である。

第4章「一流の懐に入り込む――これだけで差がつくコミュニケーション術」
人との接し方についてである。女性との接し方、偉い人の接し方などについて書かれている。

第5章「新聞は全部読むな――考えるビジネスマンへの道」
仕事をするにはとにかく「活動」が大事であることを説いたところである。

本書のタイトルである「前業」に関しては第1章のみであり、第2・3章では型破りなところもあり面白かったが、後半から何か尻すぼみの感じがしてならなかった。
「前業」を推奨とするならばもっとその良さについて、掘り下げて主張したり、具体的なケースを織り交ぜて「前業」というものとは何なのかという方法について知りたかった。本書はそれがあまりなかったというのが残念でならない。