価格、品質、広告で勝負していたら、お金がいくらあっても足りませんよ

著者の川上徹也様、クロスメディア・パブリッシングの小早川幸一郎様より献本御礼。
前書「仕事はストーリーで動かそう(通称:「シゴスト」)」の続編と言うべき一冊である。こういったときであるからコストや品質といった意識は非常に強い。また広告もなるべく少ない予算で大きな効果を求めている。企業は利益を追求する。

しかしそれだけでいいのだろうか。企業が成長するための筋書き、すなわちストーリーというのが必要なのではないのかと著者は考える。

本書はケーススタディを交えながら企業のストーリー戦略の利点と立て方について書かれたものである。前書は「ストーリー仕事術」と考えると、本書は「ストーリー経営戦略術」というような類に入るのだろう。

第1幕「なぜ、価格、品質、広告で勝負してはいけないの?(理論編)」
この頃起業する数が増えてきている。それに比例して倒産する企業も増えている。起業しても短命で終わってしまう会社が非常に多く10年で7割にも及ぶのだから、長く続けられる力というのが大事になってくる。
若手のお笑い芸人のように「一発屋」で終わってしまうことも多く、いったんブームが起こった後に消えていく、そういった企業は少なくない。
ヒットし続ける力というのは時代の流れを読んだりするという観点から難しいが、ここはストーリー戦略。時代を読みつつ、読みつつ、変えつつ、心を動かしながら売れ続ける、認知し続けるということにある。
本章の参考として「紳竜の研究」、そして私の故郷・旭川の「旭山動物園」が取り上げられている。旭山動物園についてはこの本に私の思いとともに取り上げているのでそちらを参照してほしい。

第2幕「こんなストーリーが価値を生む(実例編)」
ここではケーススタディとして4つのストーリーを取り上げられている。
かき氷屋 埜庵
養豚農家 みやじ豚
ビーサン(ビーチサンダル)専門店 げんべい
面白法人カヤック
それぞれの会社にしかない「志」「ブランド」というのがあるが、特に注目したのは「志」である。元から考えていた志をシフトする会社もあれば、ネガティブからポジティブなイメージにさせようと躍起になる企業、先代から受け継いだ思い、そしてつくるという思いが本書を読むだけでも非常に強かったように思えた。

第3幕「心が動けば、商品・サービスは売れ続ける(実践編)」
さて次は実践編である。ストーリを発見し、それを発信していかなければ始まらない。その方法についてケースによって伝授しているところから本章は始まる。
ストーリーもまた売れ続けることと同じく「続ける」こと、「志」をもつこと、ブランド化することといったものが書かれている。

論理的な経営にしても、合理的な経営にしても、そこから「ストーリー」という一つの根幹がなければ所詮型無しで終わってしまう。どのような経営にあったとしても「ストーリー」でもってどのようなブランドを立てていくか、続けていくのかというのを目指す道標となり、それに従う社員たちの原動力になる。

経営においても仕事においても「ストーリー」は必要であるというのが分かる。
前書とともに「ストーリー」で差別化してみませんか。