どうする!依存大国ニッポン

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日本は何もかも依存してしまっている国と見られても仕方がない。すでにいくつかの本でも説明しているが日本の食料自給率は40%(カロリーベース)である。食糧のほとんどが輸入に頼っている現状がある。
それだけではない。原子力などのエネルギーや鉱物などの資源、さらに兵器に至るまで海外に依存してしまっている。
「島国」であること、国土が狭いこと、「敗戦国」であることと言うように理由づけであればいくらでもできる。では日本はこのままでいいのだろうかと言ったら当然いいはずがない。戦争や国際関係によって依存したくでもできなくなる時が必ずやってくるからである。
本書は日本における依存体質の現状と、はたして脱却できるのかについて書かれている。

第1章「20世紀型成長モデルに代わるものは? 世界における日本経済」
1945年、敗戦を喫した焼け野原の中から奇跡的な経済成長を遂げ、GDP(国内総生産)では世界2位にまで上り詰めることができた日本。この高度経済成長では輸入自由化による依存や安価な輸入と工業製品の輸出により助けられた。特に自動車は非常に手ごろでありながらも丈夫な作りをしていたため飛ぶように売れたという。それからというもの、日本はバブル景気に入り、崩壊し、失われた10年(15年と言う人もいる)に陥った。
20世紀における経済モデルと言うのが成り立たなくなり、日本は低成長の時代に入った。やがて中国やインドを中心とした「BRICs」の国々が急激な成長を遂げ日本と脅かしてくる。
個の経済問題が教育問題にも、雇用問題にも波及してきている現状もある。

第2章「ゼロベースで考える 日本国の防衛」
今日のTVではあまり語られることがなく、むしろ政治も及び腰となっている国防。特に核論議に至るとヒステリックになる団体や論者もいるから困りものである。日本では佐藤栄作内閣によって「非核三原則」というのが作られた。「つくらず・持たず・持ち込ませず」である。
しかし、いつのころからか「非核三原則」と言うのが名ばかりで、暗黙の了解に「非核四原則」と勝手に付け加えられているような感があってならない。そう、「議論せず」と言うのがなぜか入っているのだ。
別に国会やTVに老いて日本の核保持についての「議論」がやって国際関係が悪化するというようなことはない。むしろ核に関する議論は持つ・持たないに問わず議論すべきである。
後半は日本の自衛隊についてである。昨年の秋ごろには「田母神論文」を発端に、日本の歴史認識問題、国防についての議論が広がった。
しかし、本書でも有権者や政治家は国防や外交に関するリテラシーが極端に低いと主張したが、まさにその通りである。

第3章「まったなし! ツケを若者に回す財政赤字問題」
日本の借金は850兆円を超え、900兆に迫る勢いである。とりわけ膨れ上がりが顕著だったのは90年代後半にかけてである。とにもかくにも歯止めをかけなくてはいけないというのは明らかである。そのためにはどうすべきかと言うと、まず頭に浮かぶのが増税である。税収によって賄われているのだから多少国民を苦しめても国の借金を残すことのないようにということによる増税だが、もうすでにここまで膨れ上がっているのだがこれをいつまで耐えていけばいいのかというのが見えてこない。やがて国民は疲弊してしまうという論理になる。また増税によってヒステリックになる人もいるのだから困りものである。
また数年前には「埋蔵金」という言葉が出てきており、財政赤字問題解決の糸口と言うのはまだまだ見えてこない。

第4章「自給率40% 食糧依存の実態」
食糧自給率については最初に書いたように、カロリーベースで40%である。先進国の中では低い数字である。しかしこれについて原因があるとすると戦後日本では肉など脂質を伴った食品が食べられ始めた、簡単に言うと日本の食生活が変わり欧米化が進んだことによるところが大きい側面もある。
本書では農地の狭さや高齢化といったもの、外国に比べて単価が高いというのも挙げている。単価が高いが品質が良く一昨年には日本米が中国や台湾に輸出され、富裕層を中心に飛ぶように売れたというニュースもある。単価は高いが高級感やブランドの勝負では負けていないというのが日本農業であるが、「ドーハ・ラウンド」など外国との競争も考えると外交における農業と言うのも課題の一つとして挙げられる。

第5章「自給率わずか4%! 日本のエネルギー問題」
日本は原子力依存により電力がまかなわれている。「原子力」と言うと、日本ではもんじゅの事故や東海村臨界事故のような放射能における事故もあれば、広島・長崎で壊滅的な打撃を与えた原子爆弾もある。海外に行けば旧ソ連のチェルノブイリの事故があると原子力は危険だという意見も致し方ない。
しかし原子力に代わるエネルギーを迅速に準備し、稼働できるのかと言うとまず無理と言う他ない。ただし原子力に代わる新エネルギーの研究もすすめられているが、実用化までは程遠い。

第6章「結婚問題ととらえるべき 少子化問題」
日本の少子化は深刻であり、先進国の中でも非常に低いと位置付けられている。ただそれに似た国はいくつかある。ドイツとイタリアである。これはアメリカの研究でも明らかになっているが、この原因についてははっきりとつかめておらず、「日独伊三国軍事同盟の呪縛」なのではないかと言う推測もある。
少子化に伴って晩婚化と言うのも進んでいるが、これは若者の失業率や年収と言うのも原因の一つとして挙げられている。最近では「婚活」という言葉がよく言われるが、はたして少子化・晩婚化に歯止めがかかったのかというのはまだ分からない。

第7章「どうする!? 依存大国ニッポン」
日本は経済や食糧のみならず、エネルギー、軍事、人材に至るまで様々なところで「依存」を行っている社会である。これは日本における海外に対する脆弱性と言うのが表れているという。本書は政治や経済のことに関してあまりよくわからない私たち「若者」に対して分かりやすく説明されているだけではなく、では「若者」の私たちにできることは何なのかというのを提案と言う形で投げかけてくれる。

今月の半ばに初めて民主党の政権ができる。おそらく連立政権になることは間違いないだろうが、民主党が初めて与党となった時に外交や経済、政治や軍事に至るまで何をもたらしてくれるのだろうか、何を求めるのかというのを主張しながらも鑑みて行きたい。
私たちにできること、それは今の政治を「知る」こと。そして自分でこれから日本はどうあるべきか、というのを見出して行くことにあるのではないのだろうか。

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