<代表>と<統治>のアメリカ政治

今年の1月20日にオバマ大統領が誕生し、8年ぶりに政権交代を果たした。現在オバマ政権に対する支持率はハネムーン期間が終わったせいか急落の一途をたどり、対中性策、対日政策、経済政策といった様々な政策を打っている。

本書は前々のクリントン政権から、ブッシュ政権を元にアメリカ政治の歴史とその役割について論じた一冊である。

第一章「アメリカ政治にとって政党とは何か」
現在、アメリカでは「共和党」「民主党」の二大政党によって構成されている。この二大政党が互いに政権を奪ったり奪われたりという循環の中で、政策が大きく変遷していったことも事実としてあげられる。アメリカでは憲法上大統領の3選が禁じられており、長かれ短かれ頻繁に政権交代が行われている。

第二章「連邦議会における政党」
アメリカにおける国会、すなわち「連邦議会」は「上院」と「下院」で構成されている。
日本では衆議院はおおよそ4年の任期を持っており(解散があるため)、参議院では6年となっている。
アメリカでは下院が2年、上院は6年である。アメリカでは2年に一度議員選挙があり、下院は全員、上院は3分の1が改選される。上院の制度をみると3年に1度、半数が改選される参議院とよく似ている。

第三章「<代表の論理>の政党を目指してー多数党への軌跡」
ここでは共和党における代表の論理について説明されている。共和党というと歴任した大統領の中で最近のモノをあげるとジョージ・W・ブッシュである。ブッシュというと9.11から始まったアフガン侵攻、イラク戦争などの汚点が多かった大統領として有名である。共和党は保守色が強く、支持母体としてあげられるのが、大企業の社長など、財界で活躍する人もいれば、キリスト教の右派(宗教右派)があげられる。

第四章「二つの論理のはざまでークリントン政権期の対立と協調」
ここでは民主党についてあげられているが、クリントン政権下にあった94年の中間選挙までの約40年間、下院はずっと民主党が過半数を維持してきた。「下院は民主党の天下」といわれてもおかしくないほどであった。しかし94年の中間選挙は、上院・下院ともに共和党が過半数をとったため、大統領対議会という構図ができあがったと言われているが、実際は対決をするときは対決をし、協調するときは協調をするといったことが行われたという。(2006年にも)ブッシュ政権において議会民主党との対立があったのだが、このときも94年以後の体制と重ね合わせた人は少なからずいたのではないかと考える。

第五章「<統治の論理>の果てにーG.W.ブッシュ政権との関係」
2001年から8年もの間ブッシュ政権が続いたのだが、本章では、ブッシュ政権における功績ではなく、それぞれの出来事や政策に関して、支持率がどのように動き、どの程度選挙に影響が出たのかというのをみている。
当時は保守的な政治を求めていたせいか支持率は非常に高かったようだが、イラク戦争の泥沼下によって急速に支持率は降下した。一概にそういえ無いものの、イラク戦争における失敗から政権や共和党に歪みが生じたといえる。

第六章「アメリカ政治の展望」
「Yes We Can」を合い言葉に選挙戦を戦ってきたオバマ氏が勝利を収め1月20日に大統領となった。最初にも書いたが対アジア政策が鍵となっているだけに外交政策も重要な課題の一つとしてあげられる。リーマン・ショック以後、経済的にも弱体化され始めているためその解消もやらなければならない。課題山積のまま政権を譲られたものの、就任当初からみて支持率や政策ともにこれといったものがでていないというのが事実である。

日本でも、あたかもアメリカの後を追うかのように政権交代が為された。15年ぶりの政権交代であり、初めて民主党が政権与党となった。おそらく多くの課題で批判の的となっていくことだろう。アメリカも日本も課題山積という荒波の中をどのように立ち向かっていくのか、着目しよう。