砂糖の事典

砂糖は調味料から、スイーツの材料など様々な場所で使われている。砂糖の起源は今から約4000年前に遡る。「中国4000年の歴史」を肖り、「砂糖4000年の歴史」と言うと信憑性はある(人にもよるが)。

本書はこの4000年の歴史を持つ砂糖がどのように広まり使われるようになったのか、人的、歴史的、さらには健康論に至るまで「砂糖づくし」といえる一冊である。

第1章「人と砂糖」
砂糖という言葉が文献にあらわれたのはおよそ紀元前15世紀、バラモン教の聖典によるものであったという。それからというもの長きにわたりインドにおいて使われたとされているが、アラビア人によってエジプトといった国々に渡り、ヨーロッパ大陸に伝来したのは中世初期の頃であったという。当初は薬品として使われていたが、十字軍の遠征後に今のような甘味料として使われ始めた。
日本も歴史が長く、奈良時代に鑑真によって伝わったと言われている。そういえば使われ始めたのはインドで、ヨーロッパ大陸に由来する前にはエジプトや中国といったアジア諸国から伝来していると考えると順当と考えられる。

第2章「砂糖とは」
さて砂糖とはどのようにして作られているのかという所にはいる。砂糖が使われ始めていたころは「サトウキビ」から作られることが多かったが、やがて「サトウダイコン」や「ビート」からも作られ始めるようになる。また、砂糖というくくりだけでも「ショ糖」もあれば、黒蜜のある「黒砂糖」、和菓子の材料の一つとして知られる「和三盆」、一般に知られる砂糖でも、「白双糖」などのザラメ糖、「三温糖」などの車糖、「角砂糖」や「氷砂糖」といった加工糖に分けられる。
後半では砂糖を科学的な観点、組成から、分子、密度に至るまでその特性について書かれている。

第3章「調味料としての砂糖」
ここではちょっとした砂糖と使ったレシピを紹介している。べっこう飴やシロップ、キャラメルから、ケーキに至るまである。砂糖にまつわる専門書でありながらも最も肩の凝らない所であるため、砂糖を使った料理をしたい人、砂糖について肩の凝らないところを見たい人にとってはうってつけの章である。
また甘味料のほかにもすき焼きや肉料理の調味料、また酢などの調味料との合わせ方と効用に至るまである。

第4章「砂糖と健康」
今巷では「メタボリックシンドローム」と言うのが叫ばれている。私はその部類に入るがメタボ解消をするなどさらさらない。それはさておき、当分はとり過ぎることによって肥ってしまうのだが、それでも人間のエネルギー源としては重要な要素として挙げられる。身体を動かすのはもちろんのこと、勉強や読書、デスクワークといった頭を使う仕事に従事している人でも重要な要素とされている。良く勉強の時や仕事の合間に「甘いものを摂りたい」「フルーツを摂りたい」と言う欲望に駆られる人もいると思うが、それは能が糖分を欲しがっている信号であり、身体を動かすことがなくても、脳の運動により糖分が消費される表れである。
但し、当分の摂り過ぎにより肥満のみならず、糖尿病といった生活習慣病もあるため、糖分は重要であるが食事はバランスよく、と言うべきであろう。

砂糖は長い歴史の中、とりわけ文明の栄えてきたときから重要な役割を担ってきており、今日の生活において欠かせないものとなってきた砂糖であると言える。本書はそのようなことを教えてくれる。