大事なことはすべて記録しなさい

「記録」は様々な場で重要な効果を発揮する。
例えば資料を研究する時、ビジネスの場での参考資料、アイデアの材料、さらには事件の証拠など、過去のものであるが、そこから未来の物を創るためには記録は欠かせないものである。
記録のノウハウであれば様々な本はあるが、本書はノウハウもあるが、それよりも「記録」をすることの重要性というのを伝授した一冊である。

第1章「大事なことはすべて記録しなさい」
大事なこと、新たに発見したこと、閃いたこと、様々なところで「記録をして」おきたい所はある。著者はそれを時系列に、そして「すべて」記録をするようにしているという。

第2章「効率よく情報収集できる」
とにかくあらゆるところで記録をすることだが、メモを取るだけに限らない。たとえば携帯メールを利用してパソコンのメールに送信し、家に帰ったらそれをストックするということもできる。また自分の声を記録することも一つある。さらにどこで誰とあったかを記録するために写真を取ることも著者は行っている。あらゆる手段を用いて効率よく「記録」をするということがここに書かれている。
また書いて記録をする方法も紹介している。
ちょっと余談になるが、「記録」や「メモ」というと歴史上の人物で東条英機を思い出す。大東亜戦争時の首相として言われているが、実は陸軍に入った時からある異名があった。「メモ魔」である。東条はあらゆることをメモに残し、3種類のカードに分けて保存したと言われている(具体的にどのように分けていたのかは不明)。それが活かされたのは二・二六事件の時、皇道派を支持する青年将校たちが相次いで省庁を占拠し、閣僚を暗殺したとして知られている。その時東条は憲兵を利用して、あらかじめメモによってマークしていた人物を一斉に捉えることにより、皇道派は一気に弱体化し、3日で鎮圧した。その功績が称えられ、それまで感触をたらい回しにされていた所から一気にエリート街道を突き進んだ。その後はもう御承知の通りである。

第3章「速く読めて、忘れない「記録読書術」」
「記録」や「メモ」・「ペン」の話になるとついついこういった話が出てしまった。
さて、今度は読書術であるが、著者の真骨頂と言える。というのは著者は書評ブロガーであり、書評のなかにはそれに類する本のワンフレーズを引用することが多い。その秘訣は「読書ノート」にあるが、著者が行っている読書ノートは一味違っている。これは著書を観てのお楽しみといったところである。
ちなみにこの読書ノートは活字に限らず漫画でも行っているという。

第4章「記録を使って、可処分時間を2倍にする「記録時間術」」
時間は誰でも24時間受け取ることができる。お金と違いその時間をどのようにして有効的に使うかという力量も試されているだけに時間管理の本はたくさん出回っている。
本書は「記録」ということなのでここでも「記録」が役に立つ。時間は気付かぬうちにあっという間に無くなってしまう。気がついた時にはもうすでに年老いていたということにならないために、時間も「見える化」する必要がある。
本章ではこの「見える化」を行い、無駄な時間をどのようにそぎ落として行くのかというのを伝授している。

第5章「心と体も書くだけのすっきり記録健康術」
著者は自分をさらにブランディングするべく(?)ダイエットを行っているという。健康術・ダイエット術も「記録」というと岡田斗司夫の「レコーディングダイエット」もある。本章ではそれに似たものが一部あるが、専ら体重と体脂肪を測ることが強調されている。

第6章「記録で人脈が10倍に広がる「記録コミュニケーション術」」
ここでは「記録人脈・コミュニケーション術」について書かれている。鹿田さんは「気配りの人」であるが、その所以がこの「記録」にあるという。
プロフィールシートで自分自身を記録することによって、より自分自身をアピールし、受け取ったものや、写真を撮ることによって出会ったことを忘れない。1度名刺交換をして出会うのだが、名刺整理中に名刺を観ると「誰だっけなぁ」と思いだすのに時間のかかる人もいることだろう。相手と出会ったことを忘れない、何日何時に出会ったのかというのも忘れないと相手の自分に対する印象も良くなる。

「記録」

それは重要なことだけれども、緊急ではないもの。それをやり続けることによって、相手にも、自分にも有益な価値をもたらすもの、これからの人生の足跡として、人生を見直すためのものとして、そしてこれから来るべき未来のために身につけて行くもの。
著者はこれまでも、これからも「記録」を続け、さらに大きな宝を作っていく。私も「記録」の在り方を見つめ、私なりの「記録」を作っていこうと考えている。