一瞬で相手の心をつかむ「声」のつくり方

ビジネスの場では他愛のないコミュニケーションや会社の命運をかけるようなプレゼンテーションなど「声」を出さない日はほとんどないほどである。私が働いているIT業界でさえでも、である。声色やイントネーション一つで相手に対する印象が変わると言っても過言ではなく、コミュニケーション術のなかでも最も見落としやすい所の一つとしても挙げられる。ではこの声をどのようにして変えていけばいいのか、本書は声楽家であり、ボイス・トレーニング・スクールの講師を務められている秋竹朋子氏が伝授する一冊である。

第1章「声を調律して自分を変えてみませんか?」
私は中学・高校と吹奏楽部に所属しており、練習の一環として「ソルフェージュ」という発声練習・合唱練習を行っていた。1日平均で30分程度であったが「声」について様々なことを学んだことが印象的である。
私的なことはこれまでにしておいて、著者は音大大学院卒で社会人としての経験はそれほど長くない。音楽漬けの毎日の成果、社会人として学ぶ機会もあまりなく、そこでの失敗談も赤裸々に書かれている。
ではなぜ「声」の調律というビジネスを行おうと思ったのか。
それはあるメーカーの売り込みで、高い成績を収めたことにあるという。それから今まで学んだ「声楽」、さらには「声」についてのビジネスを始めようと志した。
ボイストレーニングはコミュニケーション力を鍛えるなかでも重要なようその一つとしてあげられるが、悲しきかなそれに気づける人はなかなかいない。

第2章「声のお悩みケース相談・解決編」
ここではどういった声で悩んでいるのか、どのような声にしたいのかをトレーニングメソッドも交えて解決法を紹介している。
掠れた声から、ダミ声、しゃがり声、モテ声、威厳のある声・・・など様々な声があるのだという印象だった。

第3章「相手に好印象を与える話し方、言葉の使い方」
ここはおもしろかった。声色や発音もあるのだが、語尾やアクセント一つで、相手の印象ががらりと変わるのである。
本章は接客用語や誤り方などから、プレゼンテーションにも役立つような例文の読み方に至るまで紹介されている。どこをアクセントにしたら印象がよくなるのかも事細かにアドバイスされているため、アクセントを鍛えたい人には最適なところといえる。

第4章「美声をつくるためのエクササイズ」
本章では軽い体操からいよいよ発声法、口の開き方の所である。呼吸をする方法もあり、専ら「腹式呼吸」であるが、日本人の苦手なところの一つと言えるが、練習できれば誰でも習得できる方法であるのでぜひやってみた方がいい。
また発声法では「イ・エ・ア・オ・ウ」のような方法を用いられているが、確か高校の時に声楽の発声法の教科書で観たことがあるという親近感があった。

「声」はビジネスにおいて、幅広く使われる。自分の声が嫌いになった人、様々な場で魅力的な「声」を出したい人に是非お勧めの一冊である。