明日、会社がなくなっても、自分の名前で勝負できますか?

昨今の経済的状況からわかるとおり会社は明日働けるという保証はどこにもない。もし明日会社が倒産した時、あなたはどうするのか、これは会社勤めの方には是非読む必要がある一冊と言える。たとえ会社人として安定的な人生を送れたとしても、独り立ちできるほどの力があれば重宝されるからである。

第1章「自分を語るために、まず働き方を変えよう」
あなたは1日にどれだけ「仕事」をしているか。
1日中と答える人が多いかもしれないが、本当にそうなっているひとは一握り、もしくは一抓み程度しかいないのかもしれない。では残りはどうしているのか。「働いている」というのは名ばかりの「作業」を行っているのだろう。新人の人達が課せられる「仕事」も大概は「作業」と呼ばれるものである。しかしこの「作業」の行い方一つで「仕事」になる。たかが「作業」、されど「作業」である。
他にも「まねらない」ことや「現場主義」についても書かれている。

第2章「常にストーリーを意識して仕事をする」
仕事にしても、経営にしても、プレゼンにしても川上氏が語っているのは「ストーリー」である。営業にしても、プレゼンにしても、数字などを織り交ぜた「ロジカル」をするよりも、自らを(欠落した)主人公に置き、ドキュメンタリー番組のようなストーリーを想像しながら仕事を行うことで、ステップを上げ続ける。

第3章「仕事以外の日常も差別化しよう」
働くことは別に労働の場ばかりではない。プライベートも差別化できる方法がある。本章はそれ以上にビジネス書で多く書かれている「テレビを見るな」や「ビジネス書を読め」ということの逆なことを言っている。しかし、「ただ」見るのではなく「疑う」ことによって「考える」力を身につけるためにプライベートでは様々な場で考える力を身につけるというのが重要とされている。
さらにセミナーや勉強会を主催することによって「イニシアチブ」を取る、もしくは「場」を回す力を身につけることで、仕事にも直結させる力にする、または転職しても変わらない力を持つということについても書かれている。

第4章「自分をマーケティングする」
「自分を売り込む」ことも行う必要がある。仕事やプライベートで培ったものについて様々なところでアピールをする必要がある。それを「見える化」するために自分自身の棚卸を行い、自分の弱みや強みをさらけ出すことによって、売り込む道具にしていく。

第5章「あなたをストーリーブランディングする」
ストーリーを使って、自分自身のブランディングを行う。主にプロフィールづくりに関してである。プロフィールを作ることによって「欠落した主人公」をつくる。そのことによって自分の志を醸成させる。さらにはピエロになったり、攻撃対象になったとしても突き進んで行けということも書かれている。

第6章「理屈はもういい。あとはスタートを切るだけ」
準備ができたら、あとは突き進むだけ。欠落した主人公を演じながら成長をしていくストーリーをめざして行くだけである。

もし明日、会社がなくなった時、あなたはどうするのか。絶望の淵に陥ってしまうのか、それとも自分の名前を使って売り出して行けるのか、その境目が本書に書かれている心がけ次第なのではないだろうかと思う。「明日働ける」保証がない今、自分で生きる術を身につける他ない。本書はそれを身につけるための一冊と言える。