日本人のしきたり―正月行事、豆まき、大安吉日、厄年…に込められた知恵と心

新年あけましておめでとうござます。

本年もよろしくお願いいたします。

2010年最初の書評は、正月や節分など様々な行事がなぜ行われているのか、日本独特のしきたりとはいったい何なのかについてです。

正月、節分、ひな祭り、端午の節句、お盆、お彼岸・・・
行事を挙げるだけでも枚挙に暇がない。さらに地域ごとの行事を足すと、何倍にも何十倍にもなるだろう。しかし日本人はそういった「しきたり」と言うのを大事にしているというあらわれかもしれない。本書は日本人のしきたりや行事を様々な角度から解き明かした一冊である。

第一章「正月行事のしきたり」
本書の紹介が元旦であるため、本章は重点的にみてみる。
正月の行事には様々な行事があり、大晦日から「除夜の鐘」、元旦からは「初詣」「初日の出」「初夢」など挙げられており、いかに1月1日が重要な位置にいるのかというのが窺える。”一年の計は元旦にあり”という言葉があることもその一因である。
さらに行事ごとに一つ一つみてみる。

「初日の出」
元旦の日の出をみることにより、一年間健康でいられると言われている。別名「ご来光」と呼ばれているが、これは日の出とともに年神が現れることに由来しており、その御利益として前述のようなことがあるという。

「初詣」
元旦のニュースでは主要神社の初詣のニュースが流れるが、本来は1年のけじめとして家長(主に父親)が大晦日の夜から元旦にかけて地域にいる氏神様にお参りをすると言われていた。また恵方の神社に出かけることも「初詣」の習わしの一つとして挙げられていたが、いつの頃からか言われなくなった。

「門松」
門松と言えば両側に立てられている。これには「雄」と「雌」とそれぞれ立てられていると言うが、夫婦の神、もしくは対照的な御利益を持つ神が両方いることにより、1年の門出・門入りを迎えると言うのだろうか。

「初夢」
初夢でよく言われるのが「一富士、二鷹、三茄子」である。今は言われなくなったがほかにも「四扇、五煙草、六座頭」がある。これは駿河の名物であり、かつ徳川家康が、正月にそれを見たことにより戦に勝ったという言い伝えがある。そこから初夢に縁起の良いものとして代表されるものとなった。

第二章「年中行事のしきたり」
「正月」は1月1日だけではない、1月15日も「小正月」と言うのがあり、どんど焼(左義長)などが行われる。
ここでは正月以外の年中行事について書かれている。

第三章「結婚のしきたり」
日本にまつわる結婚のしきたりについて書かれているが、本書に書かれていないもので紹介すると、欧米の迷信として「ジューン・ブライド」がある。これは6月の英語表記(June)がローマ神話の女神に由来しており、その女神は婚姻にまつわる女神と言われていることから縁起担ぎとして今日まで言い伝えられている(ちなみにギリシャ神話上はヘラが婚姻の女神とされている。しかし恐妻として有名であるためそんな感じがしないが)。

第四章「懐妊・出産のしきたり」
へその緒や赤飯などが挙げられているが、ほかにも懐妊や誕生に関するしきたりの中でも余りよく分からないモノもあった。

第五章「祝い事のしきたり」
出産や結婚以外での祝い事、たとえば七五三・成人・還暦についても挙げられる。本章ではそのことについて書かれている。

第六章「贈答のしきたり」
贈答というとピンと思いつくのが、この時期では「お歳暮」、そして夏の「お中元」などが挙げられている。また慶事や弔事に関してもどのようなものも本章で取り上げられている。

第七章「手紙のしきたり」
手紙にも「拝啓、敬具」「謹啓、草々」など決まり文句が存在する。手紙は形式や決まり文句などたくさんあるのだが、それ以上に手書きに込められた思いと言うのが日本人独特である。正月と考えると手紙と言うより、年賀状がある。

第八章「葬式のしきたり」
この時期にあまりよろしくないのだが、葬式に関してもしきたりが存在するが、日本は仏教の信仰している国であり、死者を手厚く供養をする習慣がある。

第九章「縁起のしきたり」
日本の暦に「大安」「友引」「仏滅」などの「六曜」、おみくじの「吉」「凶」、御輿、だるま、七福神など宗教的な「縁起物」が多い。こちらはどちらかというと「神道」に関係するのが多い。

日本には数多くのしきたりが存在するが、特に正月には数多く存在する。新年を迎えることに当たって、スタートダッシュをすると言う意味からか、そういった習わしが多い。しかしこれらのしきたりをマスターすることにより、今年も良い一年になる、はずである。

そんな感じで、今年も「蔵前トラックⅡ」をよろしくお願い申しあげます。