宇宙とつながる働き方 経済を回復させるたった一つの方法

「働き方」と考えると、そのスタイルは「働く人の数」ほどある。私たちは学校を卒業してから、スタイルは違えど働き続けることになるのだが、昨今ではネガティブなニュースが続き、日本人が疲弊しだしていると言っても過言ではない。本書は新しいスタイルの働き方として「脱・奪い合いビジネス」、「つながり」と言うことを念頭に置いたビジネススタイル、働き方について紹介されている。

1章「「私たちの思いこみ」が引き起こした経済危機」
昨今では「不況」と言われて久しく、それだけではなく、海外との諸問題も政治・経済問わずして起こっている。その根幹となる原因、それは「奪い合い」の考え方、さらには「思いこみ」によって、メディアという名の拡声器が使われたことにより、私たち国民が不安に煽られ、政治も、経済も、社会も、そして私たちも疲弊したり、ギスギスとした空気となってしまった。また前述にもあるのだが、目先の「利益」も奪い合いによって得られる形が作られてしまったことも著者は指摘している。これは資本主義そのものの仕組みについての議論が必要であるため、難しいものであるのだが、まさにその通りとも言える。

2章「宇宙とつながる働き方とは」
本書のタイトルを見ての通り、スケールはとても大きい。本書が提唱する「働き方」、それは「つながる」と言うことである。その「つながる」が無限であること、そしてそれが、人と人の「つながり」から始まり、企業、社会、国、そして惑星へと大きくなっていく。最終的には「宇宙」にまで「つながる」働き方、ではその働き方とはいったい何なのだろうか。それは現実として見えている「勘定」や「業績」と言ったものではなく、「感情」や「愛」「自己実現」など、どちらかというと「見えない」ところを強くすることによって「つながる」という。

3章「つながりを分断するビジネスとつながりを取り戻すビジネス」
さて、この「つながり」を持つビジネスとはいったい何なのか、あるいはその逆で、「分断する」ビジネスとはいったい何なのかと言うところに本章は入っていく。それを本章の最初で16個に分けている。その16個は、

①「ビジネスの目的」
②「経営理念」
③「利益」
④「価値」
⑤「責任を負う相手」
⑥「時間軸」
⑦「人間観」
⑧「社員」
⑨「お客様」
⑩「同業他社」
⑪「仕入先」
⑫「思考法」
⑬「会議の進め方」
⑭「働き方」
⑮「リーダーシップ」
⑯「人事評価」

が挙げられている。要は「人間性」と言うのを重視している。人間の持っている「感情」や「愛」を再痔亜現に利用して、自分・他人ともに「win-win」の価値をつくる。そしてその積み重ねが大きな「つながり」となり、ひいては経済を活性化していくという。

4章「一人ひとりがつながりを取り戻す」
「つながり」をつくる第一歩として、自分はどうすべきか、ということについて書かれている。「何のためにいきるのか」「自分はどうありたいか」と言った「心構え」と言うところに重きを置いている。

「ビジネスは冷徹だ」「ビジネスに愛はいらない」と言った声を聞くことがある。しかし、それは「奪い合い」によって他人を貶め、自分だけが利益を得るようでは、必ず自分も貶められる。理想論に近いかもしれないが、自分も他人も、他社も自社もともにライバルでありながらもともに「つながる」ことによって互いの利益を生む、「共存」や「愛」がこれからの時代におけるビジネスの進化を見ているのかもしれない。