七田式 大人の日本語ドリル

株式会社イー・プランニング 須賀様より献本御礼。
「日本語が乱れている」「日本語が退化している」と叫ばれて久しいが、こういうことを主張しているのは、今に始まったことではなく、昔から同じことの繰り返しの中進化をしているにすぎない。

話は変わるが日本語ほど単語のレパートリーが多く、表現を微細なところまで言葉を用いることのできるツールは存在しない。そう考えると日本語を学ぶことにより、言葉の表現をコントロールすることができ、かつ私が気づかなかった日本語を発見することができる。

本書は「右脳」の研究の先駆けと知られている七田真氏のご子息である七田厚氏が脳のための日本語ドリルとして書かれているが、日本語の新たな発見を見いだせるという観点から本書は「脳にいい」と言える。

1章「イメージ脳を刺激する「美しい日本語ドリル」」
日本語には叙情的な表現が数多くある。しかし、それを駆使できるかというと私でも首を傾げてしまう。そこで本章では叙情的な表現、言葉で頭を想像できるような問題が21問用意されている。

2章「感動脳を高める「名文・名句の日本語ドリル」」
名文や名句はスピーチなど、様々な場において役に立つものである。そう考えると、心に残る名句でもある程度知っておく必要がある。本章では俳句・川柳・短歌をはじめ、文芸作品の名文などが出題されている。

3章「論理脳に訴える「読み間違いやすい漢字ドリル」」
読み間違いやすい漢字というのは、いろいろと書く私でもある。しかも「消耗」のように本来は読み間違っているが、一般的に罷り通っているような漢字も存在する(ちなみに今の漢字の本来の読み方は「しょうこう」である)。本章では読み間違いやすい漢字が出題されている。

4章「記憶脳に働く「書き間違いやすい漢字ドリル」」
「読みは得意だけど、書くのは苦手」という人は多い。しかし、漢字の「書き」は結構「記憶力」を頼りにすることが多い。本章では漢字の書きの問題を挙げているが、連結する漢字など様々な組み合わせがあるのかなど、漢字を知るだけではなく、漢字そのもののを「楽しむ」魅力が本章にはある。

5章「バランス脳を磨く「敬語・慣用句の日本語ドリル」」
外国語にも「敬称」など様々な「敬語」があるが、日本語ほど敬語のヴァリエーションが多い言葉はない。また慣用句も多いことも日本語の魅力の一つである。しかし余りにヴァリエーションが多いために使い間違いによって、かえって礼を失することもある。本章ではそうならないように、TPOを交えた敬語の問題や慣用句の問題を取り揃えている。

6章「情緒脳がよみがえる「伝統・しきたりの日本語ドリル」」
日本の伝統・しきたりからも漢字を学ぶことができる。例えば十二支にしても、長寿の節目にしても漢字を用いることが多い。常用漢字だけでも1985字はあるのだが、それ以外の漢字と範囲を広げると数千にも、万にもなる。
本章では漢字ばかりではなく、伝統・しきたりを学ぶことができるため「一石二鳥」とも言える。

7章「知識脳をくすぐる「名前に関する日本語ドリル」」
ここでは日本の地名や外国の国名が出題されている。特に外国の地名はかなり興味深い問題ばかりである。

日本語を学ぶことにより、日本語独特の表現そのものを学ぶことができる。本書は単に退化している日本語力の向上ではなく、日本語の可能性を見出すことにより、脳にとって良く、かつ表現を広げさせるように作られている。私も前章といてみたが、なかなか解けなかったが解いてみるうちに日本語の愉しさを知ることができる。本書は日本語の可能性を見いだせる一冊と言える。