やればできる まわりの人と夢をかなえあう4つの力

本書は香山リカの「しがみつかない生き方」の反論本と言う位置づけであると著者は言う。反論と言うよりもむしろ勝間氏の生き方・力と言うのをまんべんなく教える一冊といえる。

プロローグ「「やればできる」、本当の自己啓発は助け合いにあった!」
昨年の夏ごろに精神科医の香山リカが「しがみつかない生き方」を上梓され、ベストセラーになった。しかし本書は反論というよりもむしろ勝間氏のやればできる事について説いた一冊である。

第1章「「しなやか力」――まわりに貢献できるような自分の”長所の種”を見つける」
まずは「長所」を見つける力である、人の長所は自分のなかでも見つかるものもあれば、他人から見た長所もある。ジョバリの窓のように様々な視点で見つけることができる。その長所の見つけ方については

・「ストレングス・ファインダー」
・「MBTI」

といったテスト。さらには、

・「自分史」

を作ることによって、自分にはどれが向いているのかというのがより深く理解できる。

第2章「「したたか力」――自分の長所を伸ばすことにひたすら集中する」
次は見つけた「長所」を伸ばす。本書にもあるとおりその「長所」を強くする。したたかを漢字で書くと「強か」と書くために、そのような内容になっている。
本章では「マタイ効果」という言葉があるのだが、キリスト教に出てくる十二教徒の一人の「マタイ」からきている。マタイと言えば「マタイによる福音書」があり新約聖書の最初を飾っている。
「マタイ」にあるとおりちょっと優れていた所を伸ばすという力を「したたか力」として位置付けられている。
また本章では「1万時間の法則」についても挙げられている。

第3章「「へんか力」――絶え間なく変わり続ける」
人は絶えず変化をしていかなければ成長していかない。ウォルト・ディズニーは「現状維持では後退する」という名言を残している。様々な変化をするとはいっても、自分ひとりというわけではなく、身なりや人との出会いによって化学反応を起こし、そこで変化をすることもまた一つの方法である。勝間氏はコメンテーターでの経験、さらに手帳での変化などを交えて「へんか」をすることを実践している。

第4章「「とんがり力」――自分が力の中心になる世界に行く」
「とんがり」というと先代の林家正蔵(「彦六の正蔵」と呼ばれた)の性格(かなり短気だった)からこう呼ばれており、昭和の恐慌の時に「とんがり会」と言うのを開いたと言う話がある。
「とんがり」といっても能力的に「突出した」状態のことを言っている。長所を見つけ、それを伸ばす、伸ばすことによって様々な変化をする。そしてそれが突出したものになり自分、そして周りの環境が確実に変化していることに気づく。

本書は「しがみつかない生き方」への反論書という位置付けを著者はしているが、エピローグの最初にしかなかった。それ以上にどのように反論しているのかが見えてこなかった。反論にもなっていなかったように思える。ちなみに勝間 Vs 香山は今年の初めに激論という形の対談本が上梓されており、TVでも激論が展開された。
勝間氏を見て思うのだが、本を出して行くたびに批判の的にさらされている。出し始めたころ「インディ」が出た頃はそれなりに称賛されていたのだが、徐々に疑い始めてきたと言われてもいいかもしれない。おそらく、勝間氏は逆風にさらされている。勝間氏の真価が試されている時期に来たのではないだろうか、と私は考える。