「結果を出す人」の仕事のすすめ方

本書は仕事術でもなければ読書術でもない。本書はビジネス書など200冊を読破し、そこから行動をすることによって何を成果につなげていったのかについて書かれている「読書実践術」である。読書の方法も、実践方法も書かれておらず、この本を読んでこう実践したという繰り返しの中で著者は何を得たのかが良くわかる一冊である。

第1章「アクションリストをつくる5つのルール」
「本を読む」とは何なのか。これは人それぞれ違ってくる。自らの「知」の肥やしとする者もいれば、ストレス発散とする人もいる。または自らの仕事においてカンフル剤とする者もいる。著者にとって読書は仕事における「ツール」をインストールをするという位置付けである。何のツールかというと「他人(先人)の経験」を言い、それを自ら愚直に実践をすることにより、自らのアクションに活かす。本章ではそれらを「5つのルール」として紹介をしている。

第2章「「目標達成」のためのアクション」
著者はまず著書を出したいという目標あった。それを達成するために結果を出している編集者と出会う。その前に情報収集を行い、編集者のお勧めする本を読んだり、編集者から売れる本はどのようなものかという勉強を行うことで出版への道を拓くことができるという。
著者の処女作である「「結果を出す人」はノートに何を書いているのか」につながる役割を果たした。

第3章「「効率アップ」のためのアクション」
ビジネスにおいても効率的に行うためには「定石」を知らなくてはいけない。「定石」というのは将棋における「定跡」とおなじような所からきており、囲碁やオセロなどにおいての最善手を指す。囲碁では過去200〜300年もの研究から割り出して最善と言われた手が「定石」と言われるが、必ずしも定石だけを打つことによって勝つとは限らない(むしろ勝てないことがほとんどである。定石から新手を見つけるからである)。
定石を集め、最善手を見つけ、更なる「新手」を見つけることで、さらなる効率アップを狙う。そのために読書で「定石」を見つけ、学び、様々な情報やツールを使うことによって効率を上げ、自らの「新手」を見つけることで目標へ最短経路で到着できる。

第4章「「問題解決」のためのアクション」
仕事を行う上でどうしても「問題」や「課題」はつきものである。本章ではそれに遭遇しながらも、一つ一つ解決を行うことによってゴールに向かう。
事実問題解決を行うためにどのような問題をつくりだし、その中でどのように解決をするのかという本書をつくっていくうえでの「問題」もあった。本章では仕事のみならず、本書を書いていくうえでの問題を解決していくということも含まれている。

第5章「「人間関係」のためのアクション」
著者はサラリーマンを務める傍ら、「築地朝食会」や「ひみつの学校」など数多くの勉強会を主催している。サラリーマン以上に人間関係を築いており、人間関係を構築するにはどうしたら良いのか、どのように読書をし、実践をすることで実現できたのかについて書かれている。

第6章「「アイデア出し」のためのアクション」
ここでは著者の2冊目の本である「会社って楽しい?」が生み出された経緯について、どのような本を読み、ヒントを得ることができたのかが綴られている。ビジネス小説であるため、論文のようにどのような方法があるのかという紹介だけでは、人の心を動かすことができない。レトリックなどの技術、そして何よりも読者がその場にいるような錯覚に陥らせるような書き方など、求められるものは普通のビジネス書より多い。
情報収集をするばかりではなく、本が完成した後の営業法についても本章で紹介されているので、単に本を書くだけでは終わらない著者ならではの技術がここにある。

第7章「「時間管理」のためのアクション」
著者はあたかも明石家さんまのような人のように思える。朝4時にmixiでコメントを残したりメールを頂いたりしたばかりではなく、日によって深夜2時や3時に同じことをやっている(それが「美崎さんのコピーロボットが4台ある」というような噂になっている所以か)。
しかし著者は様々な形で「時間管理」を行いながら、サラリーマンとして仕事に励み、勉強会を主催し、本の執筆を行うという三足わらじにも四足わらじにもなるようなことを行っている。それも又時間管理術の本から、小説や自叙伝、勉強法に至るまで幅広く読み、実践をしている賜物にある。

第8章「「すぐやる」ためのアクション」

「考え過ぎると、人間は臆病になる」

これは1985年に公開されたアメリカ映画「コクーン」での名言である。考えることは悪くはないのだが、あまりそれをやり過ぎるとあれこれと考える。そればかりかネガティブな感情が生まれてしまい、結局行動を躊躇ってしまう。
それを避けるために「すぐやる」ために人から時間を頂いたり、行動を起こしながら立ち直るためのプランを練ったりすることを本から学んだようである。
ビジネスにおけるノウハウ本は実践をしてみなければ価値はない。しかし全てを実践しようとしたり、自分の置かれた状況との差異にジレンマを感じて実践できないでいる人は少なくない。心がけにしても読了後の実践にしても、自分の置かれている状況でどのように実践するかをシミュレーションを行いながら、「実際にやってみる」という考えが大切だと思う。「絶対にやる」という意気込みはあってもいいのだが、そればかり続いてしまうと逆に息切れを起こしてしまい、本来の読書を愉しめなくなるだけではなく、自分で自分の首を絞めることにもなりかねない。読書をしたら「実践をしてみる」という考えで自分流にカスタマイズをしながら他人の技術を盗みながら、自らの血肉としていくことが成長への大きな一歩と言える。本書はそれを自らの体験をもとに示してくれる。