小さな会社がNo.1になれるコア・ブランド戦略

著者の加藤様より献本御礼。
ブランドというと大企業の専売特許であるという固定観念が蔓延していた。しかし最近になって自分自身を「ブランド」として形成するための「ブランディング」という言葉があるとおり、企業に属していなくても、あるいは小さな会社でも「ブランド化」する事が可能になる。
「ブランド」は形成するまでに時間がかかるだけではなく、そこから育てる、人々に浸透させるのにも膨大な時間を要する。さらにブランドを広げるために、ありとあらゆる業界や分野へと新規開拓をしようとするのだが、本書はそういったことに対し、根幹となるブランドを戦略的に育てることを念頭に置いている。

第1章「なぜ、小さな会社にもブランドが必要なのか?」
最近では居酒屋チェーンや牛丼を売りとした飲食業界では激安戦争が続いている。その一方ではブランドを確立した企業は次々と新商品を出し、悠々と「締め出し」などを行ったりしているところもある(別にどことは言わないが、あるモノを先月から発売し社会現象を巻き起こしたほど)。とりわけ後者はまさに「ブランド」を確立させ、価格競争に飲まれることのない「強者」となり得た。あくまで大企業の例であるが、これは中小企業にも同じことがいえる。そのケースは第5章に譲るとしよう。

第2章「こんなブランド戦略ではイエローカードかもしれない」
とはいえ何から何まで「ブランド化」するのはかえって逆効果であることを忘れてはならない。さらに「ブランド化」をするにも大企業のパクリとなるようなモノや、難しいブランドの教科書を鵜呑みにして実践をするのも本章でイエローカードとしている。

第3章「小さな会社がブランドになれる「コア・ブランド戦略の秘訣」」
本章で言う戦略で大きな喩えとなるのが「チョコボール」であるという。根幹となる味が社長や会社であるコアとしながらも、周りの砂糖などのコアとなるものがメリットとなる戦略、根幹の邪魔にならない枝葉、そしてお客様にとって大きなメリットとなるものがその砂糖といえる。

第4章「地域・業界No.1ブランドになるための8つのステップ」
日本一や世界一になる前に地域や業界でNo.1になる必要がある。そのためにはどのようなステップを踏めばいいのかについて本章では8つに分けて紹介している。
主にコアを見せながら、プロセスを構築する、商品やサービスとして見える・見えないを問わずして「形」として表すなど一つ一つクリアしていくように作られている。

第5章「小さな会社のコア・ブランド戦略の成功事例」
コア・ブランド戦略を実践したことによる成功例について紹介している。最初の「お誕生日の店」はブランドもさることながら、他のレストランにはない暖かみがあるように思える。
さらに、キャッチコピー一つで開業早々に予約殺到になる店も紹介されている。キャッチコピーの強さ、そして言葉の紡ぎ出す凄さを垣間見た。

第6章「コア・ブランド戦略とは「道」である」
企業の「ブランド化」に限らず、個人で行う「ブランディング」も一朝一夕では完成されない。何日、何ヶ月、何年、そして何十年も育てながらも、広げることによって雪だるまのように大きなブランドとなってゆく。そのためには自らを振り返る時間もあった方が良い。それは私にとってもやる必要のあることの一つのようだ。

ブランド戦略に関する本は様々あるが、本書は小さな会社や個人事業主がいかにブランドを構築させていくべきかについて表している。不況による価格競争が進む中で、それに棹されないブランド作りがどれだけ大事なのかを本書は教えてくれる。