ニュースが伝えない政治と官僚

自民党政権下でも、民主党政権下でも、マスコミや一部の政治家は官僚を「目の敵」としている。しかし「官僚叩き」を行ったからといって国家は機能せず、むしろ官僚と政治家の両輪なくして成り立たない。しかしその官僚の天下りや天下る先の法人について民主党は強烈なメスを入れた。

昨年の8月30日に民主党が大勝し、9月に民主党政権が始まった。あれからもう9ヶ月経ったが、民主党内の「政治とカネ」、さらには「普天間基地」「外国人参政権」「事業仕分け」などニュースでは多く取り上げられた。とりわけ「政治とカネ」や「普天間基地」は鳩山政権崩壊の引き金となってしまった。その後、管直人が首相に就任し、これから参議院通常選挙が行われる。

今回はそれの為に一つ政治や内閣、国会とは何なのかについて現在の民主政権の傾向と共に紐解いていく。

1章「内閣〜民主政権の「政治主導」はどこまで可能か」
民主党は政権誕生後、「脱官僚依存」を払拭すべく、官僚による記者会見の中止を表明した。さらに事業仕分けを行うなど、大きな「改革」「予算削減」を実行した。
さらには記者クラブの会見とは別に独自に開く危険を開いたり、記者クラブ主催の会見を開くことを拒否したりする閣僚もでてきており、記者クラブ廃止、ぶら下がり廃止という動きも見られ始めると、とたんにメディアは「民主党叩き」に乗り出した。

2章「国会〜与野党間の駆け引き、取り引き、決まり事……」
今月の18日に今年の通常国会が終了し、これから参院戦に向けて熾烈な戦いが始まる。終了後は臨時国会が行われるかどうかにも注目が集まる。
さて本章では国会についてであるが、国会の種類はある程度わかっていても、本会議の席順、答弁の原稿、国会の水面かで調整を行う「国体委員長」の役割、証人喚問などを紹介している。
「証人喚問」は「参考人招致」などとは違い「偽証罪」が適用されるため、迂闊に嘘をつくことができない。しかし耐震偽装問題で罪を問われた某建設会社の社長の様に「証言拒否」を乱発するひともいるため証言を引き出すのはなかなか難しい。

3章「国会議員〜有能な政治家と無能な政治家の本当の違い」
国会議員の役割、給与、献金、不逮捕特権など国会議員の事についてあまり知られていないことがたくさんある。本章を読んで政治家嫌いの人であれば目くじらを立て続けてしまうようなところかもしれない。

4章「政官業のカラクリ〜日本の政治を陰で動かしている構造」
政治家は官僚を監督しながら法律をつくり、官僚は国民生活が良くなるためにつとめ、国民は政治家を監督する。それらの三角関係が今日の政治を形成している・・・と言いたいところだが、その関係も長年にわたり微妙なものとなってしまっている。

5章「選挙〜この先の参院選、衆参同日選をにらんだ戦略」
いよいよ来月の10日に参議院通常選挙が行われるが、これらにまつわる戦略とは何かについて書かれている。参院選はすでに公示され、「選挙戦」も始まっている。民主党はこれまでの実績、自民党は過去の実績とこれからについて、そして残りの野党は政権批判と自らのマニフェストについての戦いが繰り広げられるだろう。マニフェストに関してもの申したいモノもあるがこれについては次章にゆずるとする。

6章「民主党政策の争点〜日本の進路を見誤らないためのチェックポイント」
昨年に行われた衆議院選挙のマニフェスト、そして今年のマニフェストのなかで最も争点になるであろうものから順にスポットを当てている。最も大きいものとして「経済政策」「雇用」と言った国民の労働や生活に密着したところが最も注目されやすいが、その一方で軍事や憲法と言った「国のあり方」そのものに関わるものは注目が少ない。
さて、マニフェストに関してもの申したいものであるが、とりわけ経済政策に関わることである。たとえば民主党が推し進めている「子ども手当」であるが事業仕分けをしても財源を確保することができず、昨年度は過去最多の赤字国債を発行してしまった。経済政策を行っていく上で一番重要なのは「財源」である。一昨年話題となった「埋蔵金」を使えばいいと言う意見もあるが、それも有限である。今は消費税増税の議論が沸騰しているが、消費税のみならず、ほぼすべての税を見直し、最適な税制改革を菅政権は行うべきではないだろうか。そして消費税の増税は、本当に国民を理解できるような形にする、5年前のマニフェストのように、具体的な社会保障を行うに当たり消費税を引き上げると言うように、メリット&リスクの両輪を持たせるマニフェストにした方が良いと私は思う。

これから来月の10日に向けて各党は熱い選挙戦を迎える。そのなかで私たち国民は、どのとうに信頼を持てるのか、そもそもどのような日本でありたいのか、日本の政府にどのような期待を持ち、自分がどのように政治と関わっていけばいいのか、「国民は三流」と言われている呪縛から脱却をするときがきたのではないだろうか。