「またやっちゃった…」あなたのための こんどこそ!やめる技術

本書のタイトルを見て、先日取り上げた「植木等」を思い出してしまった。彼の有名な曲である「スーダラ節」の一節に、

「わかっちゃいるけどやめられない」

というのがある。これは親鸞が死の間際に語ったように人間の在り方を一言で表したものであるということを取り上げた。

だからといって、よい意味で「やめられない」状態もあれば、改善しなくてはならないものもある。本書は後者の悪循環をどのように断ち切るのかについて、仕事、生活、人間関係、考え方の4つに分けて紹介している。

1章「ついついやっちゃう 「仕事」のクセ」
仕事を行うにあたり、机のまわりが散らかっている、過去の成功体験や仕事の方に凝り固まってしまうことが多くなる。実際にそれに関して自覚していないこともあれば、自覚をしていても、ではどのように新しくしていけば良いのかわからないという考えを持っている人もいる。
本章ではそういったことに対しての整理法やモチベーション、管理法について紹介している。私が最も印象的だったのは「モチベーション」で、仕事を行う上で重要な要素の一つとして挙げられるのが「モチベーション」である。「モチベーション」を上げるには、時間制限を設ける、または相手に宣言をするだけでも大きなプレッシャーとなって、モチベーションへとつながる。仕事を行っていくために「モチベーション」が必要であるが、なかなかそれをコントロールするのは難しい。本章では「時間制限」の方法でもって行うところをみると、「時間管理術」にも通ずるところがある。

2章「ついついやっちゃう 「生活」のクセ」
おそらく「ついついやっちゃう」ものが一番多く、かつ一番やめられないものは「生活」に関するクセだと私は思う。というのは仕事や人間関係は他人の目があり、その指摘からやめられる可能性はあるが、生活は個人々々の違いがあり、誰の干渉も受けることがないからである。
もっともやっちゃうクセで根強いものとして、「TVの視聴」や「ネットサーフィン」が挙げられる。
その対策としても「タイマー」を使って時間制限をもうけて行うということを提唱している。ネットサーフィンをするにも「目的意識」を持つことでどのように調べると良いのかがわかり、それが次に調べるための糧となる。そしてなんといっても時間のメリハリをつけることでも重要な要素にもなる。
他にも食事、たとえば「食べ過ぎ」や「ワンパターン」、買い物で言えば「レシート」や「ポイントカード」、移動では「駆け込み乗車」についても言及している。

3章「ついついやっちゃう 「人間関係」のクセ」
仕事にしても、恋愛にしても、家族にしても、人と関わらないことは滅多にないほど、人との関わりがある。その関わり方一つで友好的になったり、不快に思ったりする事もある。場合によっては「うつ」の原因にもなってしまう。
本章では挨拶やメール、謝り方、ブランディングにいたるまでを紹介している。
その中でふと思ったのが「お礼でも謝るときでもつい「すいません」と言っちゃう」ところなのだが、まさかあの人のことを言っているのではないかと邪推してしまった。

4章「ついついやっちゃう 「考え方」のクセ」
クセの中でもっとも直りやすいものは「考え方」だと思う。ただし、相手から「直せ」と言われても直らないことだけは言及しておかなければならない。諺に「人のふり見て我がふり直せ」というのがあるが、良くも悪くも他人のことから自らの行動に転化できるかを考えることで成長できるかが鍵となる。
本章は私たちの周りにはほぼ必ずいるがその中で自分がどのように変わっていけばいいのかを示している。

「わかっちゃいるけどやめられない」は最初にも書いたのだが、そこからいかに脱するのかは、宗教の観念を越えて、自ら生きるに当たっての大きな課題と言える。本書はあくまで一例であるが、そういったことの脱し方を示している。