28歳貯金ゼロから考えるお金のこと

「失われた10年」を学生時代の中で生きた人たち、私たちの世代は雇用の安定や堅実な貯金について望む傾向にあるという。しかし、ただ銀行に預金をしていただけで本当によいのだろうか、確かに不安定な時代だから堅実に生きたいという願望はあるかもしれないが、その時代だからでこそ、「お金」のことを学ぶ必要があると私は考える。

本書は「28歳から〜」とあるが、それに満たない年齢の人でも「お金」のことについて学ぶことのできる一冊である。

1章「お金について本気出して考えてみる」
本章の冒頭には「ピンチはチャンス」とある。
著者は大学の頃に塾講師のアルバイトをはじめ、大学を中退してもその仕事を続けていった。収入のほとんどは仲間との飲みに消え、さらに休日にはギャンブルを行ったことによって、お金が貯まらなかったという。その後自己破産寸前の所まで行ったが、本や投資との出会いによってたちがあがり、現在は投資のコンサルタントを行っている。本書のタイトルである「28歳」の頃はまさに「崖っぷち」を地でいく人だっただけに、同じ状況にいる人たちを見過ごすわけには行かない。その思いから本書のタイトルになったのかもしれない。
本章では資産形成を行うための入り口として、資産形成の在り方、支出の減らし方について書かれている。

2章「人生の財政会議を開け」
本書は投資や資産形成をねらいにしているのだが、そのためにはまず「目的」と「目標」を持つことにある。それを持たなくなってしまうと「投資」そのものが生業となってしまい、泥沼のように投資を続け、挙げ句の果てには自己破産となりかねない。
そのためにはまず「いつまでにどのくらいのお金が必要か」「それを達成するためにかかる経費はいくらか」を問いかける必要がある。
そして現在の財政状況を洗い出し、無駄と思えるものをカットするのだが、あまりやりすぎてはいけない。節約と思っていても、周りから「ケチ」と思われ、それが心にも表れてしまうからである。

3章「習うより慣れろ!まずは実践、投資デビュー」
投資は勉強するに越したことはないのだが、まずどのようなものなのかを体で覚える必要がある。そのためにまず実際に投資を「実践してみる」ことが大切である。
しかし、証券口座を作るには証券会社に行かなければいけないという方もいるようだが、最近では「ネット証券」というのがあり、証券会社に行かなくても口座をつくることができる。ちなみに私も証券口座を持っているが、ネット証券で開設した。

4章「分散投資で、金持ちへの加速度アップ」
ある程度お金が貯まったら今度は分散投資など、投資をより戦略的に行う方法に入る。
ここでは「投資信託」を中心に取り上げている。私が証券口座を開設したときに、最初に投資したのが「投資信託」である。初心者でも安心と言えるが、投資信託の中身についてある程度わかっていないと痛い目に遭う。

5章「30代の大問題 家を買うのか、投資をするのか?」
30代になると結婚や出産といったイベントを控える人が多くなる、最近では「晩婚化」も進んでいるためなおさらである。
しかし「お金のストレスフリー」となるまでは我慢するべきだと著者は主張している。せっかく積み上げたお金をマイホームだけで崩しかねないからである。

6章「もう、お金のために働かない」
私の周りにも「お金を稼ぐために働いている」「生活のために働いている」という声をよく聞く。「今の時代だから仕方ない」という考えもあるようだが、だからでこそこの状態を抜け出す考えと勇気、覚悟が必要なのではないかと思う。

最初にも書いたのだが、本書のタイトルは「28歳」となっているが、資産形成を考えているのであれば是非手にとった方が良いと思う。これまでずっとお金のことについて学ばなくても良い時代があったのだが、今はそうではない。「お金」のことについて本気で勉強をする時代が来たのではないだろうか。