検索は、するな。

インターネットの隆盛により、Googleなどの検索エンジンが台頭してきた。辞書のみならず、ありとあらゆる情報を簡単に得ることができるようになった。

しかし、そのことによって大学のレポートのコピペが急増したという話もある。最近ではそのコピペを見破るソフトウェアが開発されたことで話題となった。

確かにインターネットからのコピペは避けるべきであるが、インターネットが誕生する以前から書物を写し書きが蔓延っていたことを考えると、根本的な解決となるかというと首を傾げてしまう。

本書は検索に頼らず、自ら考える重要性、そして検索委譲の思考力をつける為の一冊である。

Part1「すべては脳みそから始まる」
「脳」は世界的にも研究されているが、まだ解明されていないところが多い。
可能性が未知数といえる「脳」をどのように使うのかが鍵となる。
しかし、本書は脳科学に関する本ではないことだけは断りを入れておく。あくまで本書は「仕事の姿勢」や「仕事の思考」をどのように切り替えるかと言うのを説いている。
最近では効率よく仕事をすると言うことを説いたものはあるが、今回はどれだけ深く考えるか、どれだけ広く考えるかにかかっている。

Part2「自分の頭で考える」
検索エンジンにできないこと、それは「自分の頭で考える」ことにある。ここでは将棋棋士やプロ野球選手などを引き合いに出しながら、考えることの重要性を説いている。思考のスキルを上げる特訓としては、これまでやってきたミスや失敗の原因を探り、そこからどのようにやればよいのかという対策やフィードバックによってミスや失敗が成長への大きな糧となる。

Part3「温泉はいらない、マグマが出るまで掘れ」
「アイデアは温泉のようなもの」であるという。
かつてアイデアに関する本をいくつか呼んだことはあるのだが、それぞれ違う。「既存のものとのユニークな組み合わせ」と定義づけるものもあった。
どちらにせよ新しい考え方やもの、ことそのものを「アイデア」と呼ばれる。
さてそのアイデアを生み出すために、さらに思考の限界から掘り下げる、温泉も火山のマグマによって作られているので、マグマが出るまで行くことが大切であるという。

Part4「伝える極意 感じさせるセンス」
ここでは「考える」ところからはずれて感情やコミュニケーションと言ったいわゆる「論理」とはかけ離れた所についてである。

Part5「「好き」が決める、世界の行方」
自分の好きを重要性を説いている章であるが、本章の冒頭には会社が倒産の危機にあったエピソードについて赤裸々に書かれている。原因は本書を読んでほしいのだが、少なくとも利益や業績が低迷したわけではないことは言える。会社はいつでも「倒産の危機」ということがいつでも背後にまとわりついている。それに直面をしたときどのように感じたのか、部下である社員がどのような支えになったのかと言うのがよくわかる。「会社の人」でもなく、「戦友」でもあり、「仲間」であると言うことを感じたところであった。

検索でできないこと、それは「自らの頭で考える」ことにある。ただ「考え方」は人それぞれであり、方法もバラバラである。禅問答のように頭を抱えながら考える人もいれば、私のように歩きながら、もしくはノートや紙に書きながら考える人もいる。方法は違えど「考える」ことに代わりはない。
本書は考えることの重要性とは何か、と言うのを教えてくれる一冊である。