社長!儲けたいなら、モテ経営をやりなさい!

著者の早水様より献本御礼。
「モテ経営」という言葉は本書に出会うまでまったく聞いたことがなかった。巷にある「モテ本」と同じように、「女性にモテる経営者を目指すにはこうだ」というような本かなと邪推した。

しかし本書はそうではなかった。「顧客から愛され、社員から愛される経営者」になりなさいということである。

社長だけではないのだが、トップについた人間は孤独といわれる。ある元首相の話であるが「相談相手がほしかった」と漏らしたニュースをみたことがある。それほどトップにつく人間は数多き非難と孤独に耐えうるほどの精神力がないといけないというが、本書はそういった孤独感は吹き飛ばせるという。

ではどのようにして社員や顧客から愛される経営ができるのか見てみよう。

Part1「社員からモテる方法」
Chapter1「アルマを通じて価値観を分かち合う」
また聞き慣れない言葉が出てきた。「アルマ」である。簡単にいうと「会社のビジョンを自らの行動まで落とし込んだもの」であるという。企業にはそれぞれ異なったビジョンや経営指針、理念が存在するのだが、それを自らの行動に落とし込んでいる企業は珍しい。むしろビジョンや理念は「絵に描いた餅」になってしまっている企業も少なくない。

Chapter2「夢共有で社員の思いを形にする」
自らの夢を共有するのはほかに知っているところで「てっぺん」が挙げられる。「てっぺん」では朝礼が有名であるが、その中で夢を語る時間があり、従業員は本気で夢を主張するという催しである。
ここでは夢を壇上で主張するというわけではなく、夢を様々なシート使って「見える化」するといったことを行っている。

Chapter3「社員が働きやすい環境をつくる」
社長と社員、ともにモテ化させる最終段階として「働きやすい環境」である。私が就職活動をしている時、説明会で企業がよく言うのがこの言葉である。実際にこの言葉に誘われ、いざ入社したら裏切られた・・・という人はどれだけいるだろうか。
しかしこの会社は違った。仕組みやしかけ、よい文化を取り入れるのはわかるが、それ以上に「サプライズ」をつくる事は斬新、かつ驚きであった。とりわけ新人研修のエピソードは特筆であった。もし私がここにいたら、この上ない感動を味わっていたに違いない。

Part2「お客様からモテる方法」
Chapter1「サプライズこそ最高のホスピタリティである」
サプライズは社員同士だけではなく、お客様にもサプライズを与えるのだという。著者の会社は輸入中古車販売、人との商売につきる。その商売の中でお客様の名前を覚えてくれる、もしくはお客様の気遣いを最大限に行うことによって、記憶が色濃く残り、さらには購入にこぎ着けるというケースもあるという。
「ホスピタリティ」という言葉をよく聞くが、これほどまで実行されているところは見たことも聞いたこともない。

Chapter2「品質を追求し、お客様の信頼を勝ち取る」
中古車といえど、品質は避けては通れない。しかしこの中古車業界では、メーターを操作したり、事故者を隠蔽したりしているという悪弊があるという事は初めて知った。それを反面教師にして「本物」を追求するという姿勢を今でも貫いている。

社員に対しても、お客様に対しても相思相愛というのがよくわかる一冊であるが、とりわけ「サプライズ」は活字越しに読んでいる私でも驚くほどであった。