人に好かれる笑いの技術

「言葉」や「笑い」というのはメカニズムがわかりにくく、奥が深い。でも私たちの考えている以上に面白い物がある。いくら論理的に、かつ明快に話しても相手に伝わらない物もあれば、支離滅裂なトークでもものすごく面白いものまである。

その差はいったい何なのだろうか。本書は欽ちゃんこと萩本欽一に師事し、「欽ドン」や「欽ちゃん&香取慎吾の全日本仮装大賞」「SMAP×SMAP」などの番組を手がけた敏腕放送作家が笑いの技術について伝授した一冊である。

第一章「人気タレントのコミュニケーション力」
人気タレントになる理由はいったい何なのか。人気番組になる理由とはいったい何なのか。本章では放送作家の観点から人気番組がつくられるプロセスについて迫っている。欽ちゃんを師事したようにコサキンからはじまり、SMAP、タモリの人気が続くわけについても分析されている。

第二章「私が欽ちゃんに教えられたこと」
私が本書を読んで一番面白かった所である。お笑い界、ひいては芸能界の「大将」と呼ばれる人物が萩本欽一である。かつては「コント55号」で一世を風靡し、その後も司会やコント番組で不動の地位と人気を手に入れた。最近では茨城ゴールデンゴールズという球団を設立し、野球界活性に一役を買ったこと、さらに24時間マラソンに挑戦したことでも知られている。
「笑い」「おもしろさ」、そしてあらゆる物にチャレンジをしていく「挑戦心」、「運」と多岐にわたっている。

第三章「オマケのある毎日を過ごす方法」
「オマケ」というと「グリコ」を思い出してしまう。
それはさておき、笑いのネタを引き出すためにはありとあらゆる情報を取りに行かなく必要がある。さらにその得た情報を発想や仮定を持って面白くさせる。面白かった物は捨てながらもさらに面白い物を探し、つくっていく。そのことによって「笑い」というオマケが生まれるという物である。

第四章「コミュニケーションでウケる技術!?」
では「コミュニケーション」と笑いをどのようにコラボレーションをしていけば良いのかに移る。初めて会う人に向けてどのような質問を投げかけたら良いのか、相槌の打ち方など会話のヴァリエーションも広がる。

「笑い」から得られるコミュニケーションには不思議な物がある。「コミュニケーション術」というと「聴き方」や「話し方」という技術にフォーカスされる傾向にあるのだが、このようにユーモアに富みながらも、自分も相手にも「笑い」を織り交ぜながらのコミュニケーションは大きな潤滑油になる。「笑い」の力は不思議でありながら、その力は大きい。そう感じた一冊であった。