エントリーシートで目にとまる 面接で「できる!」と思わせる 内定をもらえる人の会社研究術

著者の望月様より献本御礼。
就職活動戦線は年々厳しさを増すが、今年ほど厳しい時代はないといっても過言ではない。「失われた10年」の末期であった2002・2003年の就職難を凌ぐほどの厳しさだからである。10月末現在、11年卒の大卒の就職内定率が57.4%と過去最悪の数字となった。かと思えば、有効求人倍率は回復傾向にあり、人気企業の競争率が高い傾向にある用に思える。

私が就職活動を行ったのはちょうど3年前、サブプライムローンの焦げ付き問題が表面化し始めた頃であり、好景気も踊り場にさしかかった頃である。そのときの就活状況は今よりは良く、採用人数も軒並み多かったものの、選考基準が厳しく、大学と企業の認識のかい離が目立ったころである。

第1章「内定を取るための就活戦略」
例年、3年の秋頃から早い人では4年になる直前、遅い人では4年の冬ごろまで就職活動は続く。就職活動を行うに当たり、「自己分析」「履歴書・ES作成」「模擬面接」といったことをするであろう。とりわけ「就活術」の本もあれば、「就活塾」のような就活にまつわる術を身につける所まである。
しかし何よりもものを言うのが「業界研究」や「企業研究」といえる。就活を「結婚」や「お見合い」に例えると、「相手のことを知る」に他ならないのである。本書はその研究について次章以降詳しく述べられているが、本章ではそれ以外の就職活動の流れについての戦略方法について提示している。
就職活動は「学生」から「社会人」となるための練習であり、本番でもある。「学生気分」からいかに脱して「社会人」の心構えを身につけ、そして実践をしていくのかという意識に切り替える必要がある。
本章の中でもっともおすすめと言えるのがJMMを使ったトレーニングである。時事研究から文章力をつける所まで幅広く網羅されている。

第2章「会社研究のポイント」
「業界研究」や「会社研究」が大事であることはわかったが、具体的にどのようにやったらよいのかわからないという人も必ずいる。本章では「会社研究」の流れについて紹介している。
まず最初に行うところでは内定を決めた先輩からESをもらう所から始まる。大学の就職課でも過年度のESを管理している学校もあれば、ESの書き方の一例として紹介されている本もあるのでそれも手に入れてみるとよい。
呼んだ上で実際にESを書きながら不足している点、そして会社研究しなければならないところをブラッシュアップをしていく。
会社研究をしていくためには当然会社にまつわる情報を入手する。今となってはインターネットもあるのでニュースや会社概要、売上高、事業内容に至るまで情報が入手することができる。他にも新聞やEDINET、週刊誌、ブログ・ホームページなどでの会社研究について紹介されているが、詳細な研究を進めていくときには「日経テレコン」をおすすめする。個人で使用する場合は有料であるので注意してほしいが、大学や図書館では無料で使える所もある。日経テレコンは日経新聞に限らず日経にまつわる様々な情報が蓄積されているので、より詳細な部分の研究にはもってこいである。

第3章「就活人気企業を研究する」
さて、著者の本領と言える「人気企業」、とりわけ同業界の研究についてである。著者のご両人はともに公認会計士、そのため「有価証券報告書」のなどの分析から比較対象の会社の違いについて「どこが違うのか」という「目の付けどころ」も詳しく解説されている。本章で紹介されている人気企業を志望の人はもちろんのこと、業界によって「目のつけどころ」も異なるため志望業界の「目の付けどころ」に付いて学ぶことができる。同業他社との研究にも大いに役立つ。

昨今は「就職難」と言われている時代であり、内定へのハードルも高くなっている。その時代だからでこそ「学生気分」を脱し、「社会人」に形成できる時代なのではないかと私は考える。企業研究しかり、ES作成しかり、面接しかり、社会人になって身につけなければならない力がたくさん詰まっている。「就活がうまくいかない」と嘆くこと、昨今の社会状況のせいにすることは簡単である。それを声高に叫ぶことをあえてやらずに、自らの責任に転嫁して、本書を読んで、自分のやり方を見直し続けることで自らの道を切り拓ける。