中国ビジネスとんでも事件簿

中国へビジネス進出する日本の企業が増えている。北京オリンピックや上海万博などがあり、経済成長にも拍車をかけている。日本のみならず世界中のビジネス市場は中国を感化することができないのは事実である。

しかし、諸外国へのビジネスをする中で中国ほど警戒をしなくてはならない国はない。用心をしないと、中国進出を失敗するどころか、ケツのケバまでむしり取られるが如く、何もなくなってしまう可能性もある。

本書はそうならないための中国ビジネス進出対策本として気をつけなければならないこと、さらに中国人とのビジネスの傾向などが詰まっている。

第一章「実録! 日本人がはめられた上海ガールの罠」
中国ビジネスの場で実際にあったトラップについて綴っている。おそらく色仕掛けにかかり、会社の信用のみならず、プライベートも完全崩壊されたというエピソードが生々しく綴られている。
以前話題となったのだが、政治の場でも「ハニー・トラップ」と呼ばれる政治的な罠がある。これは金を詐取するというよりは、政界の要人を色仕掛けで惑わせ、機密情報を入手しようという手段である。日本の政治家や官僚がかかったりしたという話を聞いたことがある。日本人の特性上そういった色仕掛けはとりわけ気をつけなくてはならない。

第二章「唖然! 中国ビジネス交渉風景」
ビジネスに限らず国によってしきたりや文化は違っている。当然日本と中国にも違いはあるが、その「違い」について理解をしていなければ痛い目に遭ってしまう。
特に現地でのビジネスの際には現地の法律やローカルルールに精通している人、簡単に言えば弁護士と現地人を据えておかないといけないと著者は主張している。中国にも当然「法律」は存在するものの、それの「抜け穴」をねらう人、あるいは平気で違反をするものは後を絶たない。その規模は日本のそれよりもはるかに多く、用心しなければならないほどである(むしろ逆に日本の方が法律を遵守しているという見方もできる)。
それが難しい人でも最低限のルールが紹介されているため、一度目を通した方がよいのだが、あくまで「最低限」であり、これだけでは足りないと言うことを肝に銘じた方がよい。

第三章「かつ目! 日中契約文化の相違」
中国企業や人物に対する「契約事」や「交渉」のやり方について綴っている。
交渉スタイルから契約トラブル事例に至るまで網羅されている。

第四章「実践! 中国でトラブルを起こさないために」
最後は中国の現状をまとめている。中国へのビジネス進出は他国のビジネス進出よりもリスクを伴う。国のことについてある程度の理解を持たなければ、最初に何度も書いたように「痛い目に遭う」。そればかりか、他社、もしくは他の業界にも影響しかねない。企業を守ることとして弁護士の選定などは細心の注意を払う必要があるという。

中国ビジネスの実態とそのビジネスに進出する日本企業がどうあるべきかと言うのを紹介しているのだが、本書を読むとどうやら「弁護士の選定」が大きなキーポイントになっているように思えた。文化の違いや法律体系などのシステムの違い、と言うのはあるかもしれないが、身を守るために必要なことなのかもしれない。本書がそう言っているのだから。