寿命論―細胞から「生命」を考える

人間にも例外がないように、動物・植物などありとあらゆる「生きる」ものには「寿命」が存在する。しかし生物によってはわずか数秒で寿命を迎えたり、あるいは「鶴は千年、亀は万年」という言葉の如く長生きする。

本書は「細胞」という観点から寿命のメカニズムに迫った一冊である。同時に神話における人物の寿命についても述べられており、旧約聖書における人物の中では900歳台まで生きた人物(ノア・アダム・メトセラなど)は7人にも上る。昨年の秋頃言われていた所在不明の高齢者もびっくりと言えるほどである。ただ細胞学など生物の観点から前述の物を見るのはなかなか難しい。もしそれができたら「不老不死」も夢ではないのだから。

それはさておき、昨今では人間の寿命も延びてきている。衛生環境が良くなったのかからと言えばそれまでかもしれないが、もしかしたら環境の変化により、細胞にも変化が表れ、寿命が延びたのではないか、とも考えられる。細胞と寿命の相関関係はまだ解明されていない所が多いとなると、本書だけに終わらず、さらなる「寿命論」が見られるのかもしれない。