小沢一郎50の謎を解く

現在、政治資金規制法などの罪で強制起訴を受けている小沢一郎、しかし最近の政治の歴史を書くに書かせない人物の一人である。自民党で田中角栄の薫陶を受け、徐々に発言力を強め、幹事長まで上り詰めた。その後自民党を離れ、新進党・自由党と渡り、現在は玉石混交である民主党に合流した。選挙戦にも強く、民主党を政権与党に仕立て上げたのも彼の影響が強い。

本書は小沢一郎について30年の歳月にも渡って取材を行い続けてきた記者が小沢一郎について「50の謎」という形で記した一冊である。確か違う著者であったが「田中角栄研究」といった本があった。これは長年の取材データのなかで田中角栄の表と裏を隅々まで研究してきた本である。本書はその小沢一郎版と言うべき一冊とあるが、まさか「新書」という形で出てくる、と考えると要所でしか記述することができないように思える。ちなみに「田中角栄研究」は文庫本で上下巻合わせて約900ページにも及ぶ大作である。

30年以上の膨大なデータがあるとするならば、「小沢一郎研究」と題して数百ページにも及ぶ大作があってもいいのではないかと考えてしまう。もしそれが出てくるとするならば、本書は抜粋版という位置づけの方がベターだと考える。